ordinary life

シティーハンター二次創作と萌え語り

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槇ちゃんと冴子さんのお話。思いっきり短い短編です。
ふたりが恋人同士の内容なので、原作のイメージを大切にされている方は閲覧をお控えくださいませ…。





<あなただけを>



「お疲れさん」

薄暗い、真夜中のオフィス。
白い蛍光灯の下、あなたは目尻を下げて笑う。
優しい声音と一緒に差し出された缶コーヒーを受け取ると、堪らず微苦笑した。

もう辺りには、誰もいない。ふたりきり。
だから、あなたからも私からも険しさは消えて、自然と肩の力が抜けていて。

こういう時は、もっと違うものを望んでしまうもの。
その事を、あなたは分かっているくせに。
知らんぷりして平和に笑っているから、少しだけ腹が立ってしまう。

大方あなたの心の中には、大切な家族が居座っているんでしょう。
かけがえのない、たった一人の肉親。
夜中に彼女をひとりきりにして、心配していないわけがない。
それは当たり前の事で、仕方のない事だと分かっている。

でも。それでも。
こうしてふたりでいる時ぐらいは、よそ見しないでほしい。
そのあたたかい眼差しを、誰にも向けないで。

一瞬過ぎった想いが、喉まで込み上げる。
醜い声をなんとか押し殺して、小さく息を吐くと、目の前の男を見つめた。

私の想いを知ってか知らずか、未だ緩やかに笑っている彼。
その様子に、やれやれと肩を竦めた。

また今夜も、こちらから仕掛けなければ、駄目なようだ。
不器用な手を引っ張って、導かないと、きっと彼は動かないだろう。
いつまでも女にこんな役を押し付けるなんて、まったくずるい男。


「ねぇ」

目の前で、熱い缶コーヒーをゆらゆらと揺すりながら、にっこりと微笑む。
彼は表情を変えずに、俄かに首を傾げた。

「コーヒーよりも」

缶をデスクの上に置いて。
熱の移った指先で、少し荒れた唇をそっとなぞった。
途端、彼の顔に動揺が広がる。
そのあどけない反応に、思わず口元が緩んだ。

「こっちがいいの」

とびきり艶っぽい声を落として、細く開いた唇にゆっくりと口付けた。
一拍の後、押し当てた唇を離す。
彼は少し照れながら、すまん、と一言呟いて。
鼻頭を掻いてみせるから、つい小さく噴出してしまった。

こんな時に、照れたりしないで。謝ったりしないでよ。
そう思うけれど、彼らしい言葉と仕草に、心がじんわりとあたたかくなる。


「冴子」

ふいに名を呼ばれ、らしくなく鼓動が跳ねた。
いつもと同じ声、呼び方。
でも、向けられる瞳が違うから。

熱を帯び始めた鈍い瞳孔の色合いに、愛おしさが込み上げる。

もっと、もっと。見つめて。求めて。

際限なく溢れる想いを注ぐように、少しだけこけた頬に手を伸ばした。

あなただけを


今度のキスは、彼の方から。
強い力で引き寄せられて、一度躊躇うように触れて。
次第に深く繋がる口付けに、きつく瞼を閉じた。

とろけそうな甘さに、意識が溺れる。
あなたも、私と同じ気持ちで触れているのだろうか。

ぼんやり滲む世界で思えば、それに答えるように、腰を抱く腕に力がこもった。


『今夜は、一緒にいたい』


そう囁いて、今度はあなたが手を引いてほしい。

絡み合う唇に息を乱しながら、熱くなる心の中で、そっと願った。





<あとがき>
槇ちゃんと冴子さんの事を考えたらどうにも切なくなって、甘々な絵を描いていたのですが、お絵かき中にほんのり妄想してしまいまして、短編も書いてみました。
槇ちゃんと冴子さんのキスをイメージしたら、なぜか場所が職場になってしまいました…なんでだろう?
槇ちゃんは真面目だからそれはないかなぁと思ったんですけど、夜中に誰もいないんだったらキスぐらいはしますよね、多分^^
さすがにそれ以上の事は自重するでしょうけど(リョウちゃんならやってるな!)。
原作ではふたりのツーショットってほとんどなかった…と思うので、お絵かきしててとても新鮮な気持ちでした。
このふたりも、いいカップルですよねvv
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MAY

Author:MAY
CH(リョウ×香)のイラストと二次小説を好き勝手に書き散らしております。
たまに他のジャンルの萌えを語る事も。
最近嵐さん(特にリーダー)にはまってます…。

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