ordinary life

シティーハンター二次創作と萌え語り

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原作程度のお話。
一線を越える直前の、リョウちゃん視点の短編(本当に短いです^^;)。
仕事を終えた二人のやりとり。ちょっと切なくてじれったい系です^^






<いくじなし>




「お前なぁ、もう少し火薬の量を加減しろよ!俺達まで吹っ飛ばされるところだっただろ!?」
「もうっ!だからその事はさっきから謝ってるじゃない!いつまでもネチネチしつこいわねっ!!」

早朝の冬の浜辺に、賑やかな声が散らばる。

「しつこいって…、あのなぁ、俺の行動が一秒でも遅かったら、俺は」
「いいじゃない、二人とも無事だったんだから、それで」

俺の怒声を遮った、透き通った声。
ふんと鼻を鳴らすと、ギリギリと交えた視線を引きちぎって香は前を歩き出した。

『俺はともかく、お前まで怪我するところだっただろ?』

言わせてもらえなかった言葉を心の中で呟き、離れる背中に放り投げると、肩を竦めて小さく息を吐いた。


平らな砂浜に出来た小さな足跡の上を、辿るように小幅で歩く。

以前はこんなふうに言い合う事なんて、出来なかった。
互いに口を閉ざし、己を責めるだけの馬鹿げた思考の渦に嵌っていただろう。
だが、今こうして、ごくありふれた日常のように対応出来るようになったのは、ずっと抱き続けてきた純粋な想いを認めたから。
共に生きると、誓ったから。


海を撫で付ける冷たい風が、二人の間を擦り抜ける。
寒い。
か細く頼りない声が、鼓膜を掠めた。

風邪を引かせてしまう。
小さく舌を打ち香に駆け寄ると、羽織っていたコートを強張る肩に被せた。

らしくない事を。そう思ったのだろう。
振り仰いだ香は、少し意外そうな面持ちだった。
でも、少しずつ、花が咲いたような笑顔に変わって。
『ありがとう』と、優しい声音で言った。

礼なんて、言ったりするな。
強過ぎる硝煙の匂いが染み付いた、着心地の悪いコートを掛けてやっただけなのに。
それは、俺が言うべき事だ。
傍にいる事を、きっともう随分前から心に決めていたお前に。


二人を包む空気が、緩やかに変わり始めた。
色褪せた唇は、微笑んだままで。
その唇に、触れたい。
漣のように押し寄せる愛おしさが、香を求めた。それなのに。

東雲を幻想の色に変える白い陽が、香の輪郭を照らして。
見惚れる程の儚い美しさを目の当たりにしたせいで、焦がれた想いは霧散してしまった。

今はこれが

だから俺は、やっとの思いで、潮風に揺れる淡い髪に口付けた。
そうする事が、精一杯だった。


唇に触れられる事を、待っていたのだと思う。
香は少し、残念そうに笑って見せた。
仄かな切なさを映し出した瞳はまるで、意気地なしと言っているようで。

「さっさと帰るぞ」
いたたまれなくなった俺は、ぎこちなく顔を逸らすと、愛車が待つ駐車場へと足を速めた。

「待ってよ」
さくさくと砂を鳴らしながら横に並んだ香。
少し様子を窺うように俺を覗き込むと、さり気なく手を繋いできた。

ほんの少しの触れ合いに、心臓が大げさに驚いてみせる。


ひやりとした、柔らかい手。
優しく、強く、心に絡み付くような感覚に、俺は無意識のうちに握り返していた。

素直に寄り添ってくれるうちに。
臆病者と見限られて、この手が離れてしまう前に。
ちゃんと繋ぎ止めておかなければ。

歯痒い焦燥に駆られて、堪らず胸に痞えた息を吐き出した。
白く濁るそれを目で追いかけながら、しなやかな指に荒れた指をそっと絡ませる。

クーパーに辿り着くまでのほんの僅かな時間は、まるで永遠かのように永く思えて。
ゆらゆらと翻弄される想いを、ただひたすら噛み締めていた。




<あとがき>
『リョウちゃんのコートを羽織る香ちゃんが見たい』というご意見をいただいたので、本当はイラストだけだったのですが、ほんのり妄想が浮かびまして短いお話を書いてみました。
一線を越える直前のリョウちゃんは、ちょっとしたきっかけで香ちゃんに触れられそうなのに、でもやっぱりヘタレだから怖気づいてしまう…といった状態だったのかなぁと思います。
髪や額にキスしたり手を握ったりは辛うじて出来るけど、それ以上となると尻込みしてしまう、なんとももどかしい感じだったのでは…。
そういうリョウちゃんを『意気地なしめ!』と思いながらも、そっと寄り添う優しさが香ちゃんにはあるんですよねぇ(MAYは忍耐力が弱いのでこんな状態我慢出来ませんが^^;)
でもいい加減はっきりしないと、いくら優しい香ちゃんでも痺れを切らして逃げてしまうので、さっさとヘタレを卒業しなくてはねリョウちゃん^^
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コメント

素敵☆

いいですね~、早朝の浜辺に二人…香ちゃんが一緒だと、リョウにも朝が似合う♪(リョウ単独では、真夜中の午前2時が一番似合う気がしますが)。
大人になって原作を読み返すと、つくづくリョウのヘタレっぷりが分かりますよね。二人とも、もう大人なのにその距離感…そこに、かえって萌えますが☆
いつもありがとうございます!

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MAY

Author:MAY
CH(リョウ×香)のイラストと二次小説を好き勝手に書き散らしております。
たまに他のジャンルの萌えを語る事も。
最近嵐さん(特にリーダー)にはまってます…。

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