ordinary life

シティーハンター二次創作と萌え語り

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
このお話はリクエストを基にしたものです。
リクエストくださったみい様、ありがとうございました!


原作以上、リョウちゃん視点の内容です。
香ちゃんのキャラがちょっと崩壊しておりますが、大目に見てくださるととても助かります^^;

<こんなにも>



「ちょっ、お前なぁ、人の話をっ」
「うるさいっ!言い訳は聞きたくない!」
「いや、だから、あれはお前の見間違いだって」
「なによ?私が見間違ったっていうの?」
「そうだ!あれはっ」
「私はこの目ではっきり見たんだぞ!あれの何が間違いだっていうのよっ!」


『このド浮気者が』


夕刻、怒気をたっぷりと含ませた香のセリフをきっかけに始まったケンカ。
ケンカの原因は、俺の浮気、らしい。
俺が他の女とキスしていた、そう言うのだ。

何馬鹿な事を。そう言いかけたが、一つだけ思い当たる節があった俺は、それの真相を語ろうとした。
が、怒り心頭の香は俺の話など聞く耳は持たず激高するばかり。
片手には俺の宿敵コンペイトウ、こめかみには青筋がくっきり。
背後に身震いする程のどす黒いオーラを纏う香に命の危機を感じた俺は、凄まじい気迫に気圧されながらも必死に香を宥める。

「香、落ち着けっ!頼むから俺の話を聞い、て…」
どうか怒りを鎮めてくれ、と土下座していた俺は上を見上げて声を詰まらせた。
きり、と吊り上げた目の淵に、丸い涙が光っている。
唇を固く結んで、小刻みに肩を震わせて。

「…分かってる。私じゃダメだって」
「…?」
「私じゃ物足りないって事ぐらい」
「…あ?おま、なにを…」
「私みたいな女じゃ満足出来ないって分かってる!でも、だからって、あんな事するなんて!」
「…」

とうとう耐え切れず零れ落ちた雫と共に降ってきた怒声を理解するのに、数秒費やす。
ちょっと待て。一体どうすればそういう発想が出来るのか。
俺は胸の中で頭を抱えた。
お前がつまらない女だから、浮気したんだろう。そう言いたいのか。
そう解釈した途端、俄かに腹立ちを覚えた。

人の話を聞く事もせず、好き勝手に喚いて、挙句の果ての酷い妄想。
マイナスの方へ向かう短絡な思考回路を作ったのは、俺の責任だという事は分かっている。
分かってはいるが、思い違いもここまでくるとあんまりだ。
ここは強気で戒めねばいかん。

下手に出ていた俺はそう決心すると、徐に立ち上がろうとした。
が、それは香愛用の凶器により阻まれる。コンペイトウと共に床に埋められた。
重い衝撃に一瞬消えそうになった意識が遠のく足音を捉え、俺は鉄の塊を吹き飛ばす。
「かっ、香!待てっ!」
そう叫んだ時には、もう香の姿はその場から消えていて。
俺は一人リビングに取り残されていた。


「…くそっ、めいっぱい殴りやがって」
ズキズキと痛む頭を摩りながら盛大に舌打ちし、ソファへと乱暴に体を倒す。

思い込んだら一直線の我がパートナー。
真相を知れば簡単に誤解が解けるのに、怒りに突っ走る彼女に取り付く島もない。

確かに俺は、香以外の人間とキスをした。
いや、した、と言うのにはいささか語弊がある。
したのではなく、されたのだ。
それはもう、すれ違えば思わず振り返りたくなるような、とびきり美しい、男に。
そう、俺は男にキスをされたのだ。女の装いをした男に。
相手は心も外見も女の形をしているが、付いているものはちゃんと付いている、れっきとした男なのだ。
彼女…は最近オープンした店で働く一番の売れっ子で、顔見知りだった。
そして、俺の事を特別気に入っているようで。

昼下がり、街をぶらついていた俺は彼女とばったり出くわし、少し言葉を交わした別れ際、突然抱き付かれてキスされたのだ。
見てくれは立派な女だが、力は一般の男と変わらない。
不意を突かれた俺は、男の力に引っ張られうっかり接触を許してしまった。
そして、俺にとっては全く嬉しくない、事故とも言える現場を、運悪く香に目撃されていたらしいのだ。

やるせなさに、大きな溜息が零れる。
俺と香の付き合いは長い。仕事上のパートナーとしての信頼関係は確立されている。
だが男女の仲はと言えば、まだ脆くて未熟だ。残念ながら。
互いに抱いていた想いは深く濃密だが、それは完全に重なってはいない。
ちょっとしたすれ違いで、離れてしまいそうな危うさがある。

香とそういう関係になってから、まだ日が浅い。
それに今までの俺の言動が、あいつの女としての自信を失念させているだけに、香は未だに俺を気遣い全てを委ねようとしない。
素直に、寄り添えないのだ。
米粒ほどの不安要素でも、それは香の中で膨張して、俺との間を隔てる壁となる。
その壁を打ち砕くには、やはり俺の努力が必要なわけで。

去り際に零した涙。あいつの涙の威力は絶大だ。
どんなに劣勢だろうと、こちらに非がなくとも、あれには勝てない。
きっと今も泣いているであろう香を、いつまでも放っておく事は出来ず、俺は慰めの言葉を探しながら香の部屋へと向かった。


ドアの前に立ち、深呼吸する。
ひょっとしたらもう2、3発ハンマーをくらうかもしれない、そんな事を思いながらノックしようとしたその時、異変に気付いた。
香の気配が感じられない。
素早くドアを開け室内の様子を窺うが、香の姿はない。
気配の名残だけが、儚く漂っていた。
他の場所も探したが、やはり香は見当たらず苛立ちが心を覆う。
どうやらいつの間にか、外に出たようだ。

迂闊だった。もどかしい怒りに冷静さを欠いていたせいか、香の行動に気が付かなかった。
現在依頼はなく外出する時間帯でもない為、香は発信機を付けてはいない。
という事は、すぐに香の元へと行くのは難しい。

焦燥に駆られながらアパートの階段を駆け下り、一階へと差し掛かる踊り場で微かな違和感に気付く。
乱した息を静めながら意識を集中させると、二階にゆらりと動く空気を感じた。
その中に混じる馴染んだ気配にも。

俺は安堵の息を吐くと、苛立つ心を抑えそれに接近した。
最奥の部屋の前にさしかかると、その存在が動揺をあらわにする。
恐らく俺の足音が聞こえたのだろう。

「香」
僅かなドア越しの対峙の後、名を呼ぶと、向こう側から小さな物音が聞こえた。
「香、出て来い」
呼びかけても、香は沈黙を返し俺を拒む。
ドアノブを回すと案の定施錠されているから、歯痒さに顔を顰めた。
「そんなところにいたら、風邪ひいちまうだろ。だから」
「来ないで」

きんと冷えた声が鼓膜に響いた刹那、じれったさに覆われた自制心に亀裂が走る。
もう悠長に話す気も失せた俺は、室内の香の位置を把握し、鉄製のドアを力任せに蹴破った。
金属が潰れる鈍い音と悲鳴が、不快感を膨張させる。
もう一度ドアを蹴り飛ばし完全に開放すると、躊躇う事なく薄闇に満ちた室内へ。
部屋の中心まで進み窓際に立つ影を確認すると、俺との距離を取ろうと逃げる香に一気に詰め寄った。
壁に退路を断たれ逃げ場を失った香は、怒ったような、困ったような顔をして、弱弱しく俺を威嚇している。
涙に覆われた瞳が揺れて、鈍く光った。
は、と小さく息を吐いた物言いたげな唇が、何かを囁こうとしたと同時に、俺は香を懐に掻き抱いた。

最初からこうすればよかったんだ。
手の付けられないはねっかえりを黙らせるには、こういうやり方が効果てきめん。
と思ったが、我がパートナーはそこら辺の男よりも逞しく、気の強さも天下一品で。
俺から逃れようと、往生際悪く腕の中で暴れている。
この体勢にもかかわらず、従順になろうとせず抗う姿勢を見せる香に苦笑しながら、抱き締める腕に力を込め、ふわふわな髪に顔を埋めた。

冷たい体をぎゅうと深く引き寄せる。
こんなに冷えて、一体いつからここにいたのか。
リビングを出てからすぐここへ来たのなら、一時間程この寒い部屋にいた事になる。
小さい耳に唇を寄せると、そこはやはりひやりとしていて、堪らず軽くキスをした。
数回啄ばむと、暴れていた香が次第に静かになり、抗うのを止める。
大きく吐き出された息が、胸に熱い。


「あれは、男だ」
「…え?」
何の脈絡もない言葉に、腕の中からくぐもった声が聞こえる。
「お前が見た女、あれは男だ」
「…」

手短に真相を話した途端、大人しくなった香が再びもがき出す。
「あっ、あんたって最低な男ね!そんな見え透いた嘘をつくなんて!嘘つくならもう少しマシな嘘をっ」
「これ、見てみ?」
再び鼻息を荒くし始めた香に、ピンク色の紙をぴらりと差し出してやる。
「な、なによ、これ」
「あのコの名刺。この店で働いてんだよ」
「…」
俺の手元をじっと見つめる大きな目は、まだ信じられないといった様子だ。
「嘘だと思うんなら、今度一緒に行こうか、この店」
「べ、別に、そんな事しなくていいわよっ」
不貞腐れたように早口に言うと、香はぷいと顔を逸らした。

膨れっ面の香にくくっと笑うと、一歩分開いた2人の距離を縮めて頭をかき混ぜる。
「な、だから言っただろうが。お前の見間違いだって」
呆れたようにそう言った俺を、ゆっくりと見上げる香。
複雑な色を見せるその瞳が、まだ俺を完全に許していないから、肩を竦めて苦笑した。

男だろと女だろうと、香にしてみればそんな事、関係ないのかもしれない。
自分以外の人間に触れさせたのは、紛れもない事実で、その点がどうしてもひっかかるのだろう。
もし逆の立場だったら。ふとそう考えて、とてつもなく不愉快になった。
香が俺以外の人間と。なんて、想像しただけでムカついてしょうがない。

ふう、と小さく息を吐くと、もう一度香を引き寄せた。
「浮気なんかするわけないだろ?信じてねぇの、俺の事」
「…以前の行動を考えると、信じろっていう方が無理なんじゃない?」
「…そりゃそうだ」
棘のあるセリフに、俺は力なく笑う。
「そんな事、するわけないだろ…」
そうだ、香以外の誰かに意識を向けるなんて、出来るはずがない。

乱暴で、危なっかしくて、無鉄砲な。
人一倍情が深くて、お人好しで、優し過ぎるパートナーを。
俺の事をひたすらに想い続けてくれる、こんなにも愛おしい存在から目を逸らしている暇なんてないんだ。


「さっき言った事、取り消せよ」
「え…」
「ド浮気者、つっただろ、お前」
「…」

暫し沈黙した香だったが、小さな頭がこくんと揺れて、俺に体を預けてきて。
俺の背中にゆるゆると腕を回してきたから、それを許しのサインだと受け取った。


「じゃ、今から仲直りのエッチするか」
香を胸から離し明るい声を放つと、一瞬固まった彼女が情けなくうろたえ出した。
「ち、ちょっと、普通は仲直りのキスじゃないの?」
「あ、香チャンはキスがいいわけね」

口を歪めて意地悪く言ってみせると、白い両頬を包んで急性に唇を重ねた。

なかなおり

「んうっ!」
まるで情事の最中のようなキスに驚いた香は、俺のシャツをきゅと掴んで体を強張らせる。
ぐいと腰を引き寄せ密着させて、更に深く潜り込むと切ない吐息が漏れた。
角度を変える度に出来る僅かな息継ぎの隙間を掴もうともがいて、必死になる姿に煽られる。
わざと恥ずかしい音を立てて唇を解放すると、余程苦しかったのか肩を上下させながら、俺の方へ倒れ込んできた。

「さ、仲直りのキスが済んだから、今度はエッチな」
「え…きゃあっ!」
香がぼうとしていた隙をついて、柔らかい体を素早く横抱きにする。
「お前、俺は満足してないって思ってたみたいだから、そうじゃない事を今から証明してやるよ」
「いっ、今から!?」
「そ、今から」
俺はすでに主張し始めた箇所を丸いお尻に当てながら、にんまりと笑った。
その感触に、香の顔がぼわんと赤くなる。

さっきまで怒りまくってたくせに、今は顔を伏せて恥らってみせるから、可愛くて仕方なくなる。
やっぱり余所見なんて、していられない。

「さ、部屋に戻るぞ」

恥ずかしさでもうすっかりぽかぽかになった香を抱えて、薄暗い廊下を走り、階段を駆け上がる。
部屋へ着く頃には、香も観念したように俺に抱き付いていて。
玄関の前で立ち止まり、何となく顔を見合わせた俺達は、ふっと笑い合って、もう一度小さなキスをした。





『香ちゃんが突然いなくなって、取り乱すリョウ』、というリクエストをくださったみい様。
スミマセン、リョウちゃんあんまり取り乱してないし、香ちゃんは聞き分けのない子供みたいになっちゃったし、おまけにだらだら長くて^^;
自分では思いつかないシチュエーションだったので、書いててとても新鮮でした!
拙文ですが、読んでいただければ幸いでございます…。
素敵なリクエスト、ありがとうございました!!
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://qazzz.blog31.fc2.com/tb.php/455-986577be

MAY

Author:MAY
CH(リョウ×香)のイラストと二次小説を好き勝手に書き散らしております。
たまに他のジャンルの萌えを語る事も。
最近嵐さん(特にリーダー)にはまってます…。

名前:
メール:
件名:
本文:

この人と友達になる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。