ordinary life

シティーハンター二次創作と萌え語り

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このお話は、奥多摩で2人が抱き合ってるラストのシーンから始まる捏造話です。
あの時キスしてたら…というものなので、原作のイメージを大切にされてる方はご注意くださいませ。
リョウちゃん視点。思いっきり自己満足な内容です^^;
それでもいいですよ、という方はどうぞ…。





<sure>



緩やかに吹き抜ける風が、現実を遠ざける。
五感で捉える全てが霞んで、実体がないみたいだ。
ただ、触れ合ったところからじんわりと伝わる温もりだけは、確かなものだと分かるから。
深く、深く、包み込んだ。決して離さないように。



香に対して生まれる情愛を、長い間認める事をせず、目を逸らし続けた。
同じように、彼女の中にあるひたむきさにも。
2人の心を重ね合わせる事が、どうしようもなく怖かった。

俺はずるい人間だから、自分を守る事を優先させた。
それが香を傷つける事だと、分かっていながら。

躊躇っても、逃げ回っても、結局は丸ごと受け入れてしまう事を、本当はもう随分前から悟っていた。
多分そうなるだろう、なんて曖昧な感じではなくて、どこか確信めいたような確かな想いが、片隅にこびりついていた。
一度だって逃げる事なく、まっすぐに向かい合い続けた香を、俺はずっと好きだったんだ。



心は既に壊れていて、何かが足りなくて。
ずっと冷たいまま生きて、そして呆気なく死んでいく。
それが、自分の人生だと決め付けていた。
でもそれを悲観する事はなく、ありのままの現実を享受していた。
引き金を引いて命を消す時も、欲を満たす時も。
頭の中は静寂を保ったままクリアで、何も感じる事などなかったのに。
無機質な心のずっと奥底に、香はいつの間にか居座っていた。
ひどく居心地が悪いはずのその場所に、変わることなく、優しいまま。


自分の想いを認めたのは、いつだっただろうか。
生暖かい情とは無縁だったから、自分の中で起こっている変化に気づいた時、正直戸惑った。
自己を変えられる事を不快に感じて、無性に怖くて、本能的にその感情を消し去ろうとしていた。
でも、少しでも彼女の欠片を感じる度、心身がすっと軽くなるような感覚が心地よくて。
別離を迷った時、心が辿り着く先を予感した。

対象が変われば愛情も変わる。形は様々だ。
香へのものは、果たして何と表現したらいいか。うまく言葉が見つからない。
もう何年もずっとそばにいて、数え切れない時間を共有し合った。
誰とも馴れ合う事をしなかった俺に、当たり前で大切な事を教えてくれた人間、それが香だ。
愛だとか恋だとか、ありきたりな型には微妙に当て嵌まらない気がするし、見えないものを信じる事は難しい。
だが、不安定だった想いを積み重ねながら過ごした毎日が、俺の中で大きく存在していて。
俺を俺のままで、変えてくれた事実があるから。
心を膨らませる想いを受け入れるには、それだけで充分だと、そう思った。




「あ、やば」

微かな囁きが聞こえたかと思うと、抱いていた腕にぐんと重力が掛かり思わずバランスを崩す。
抱き止めていたはずの香が、へたり込んでしまったからだ。
かくんと折れた膝を地に付けて、両手は俺の腕に縋り付いている状態。
突然の出来事に目を合わせ、二、三回ぱちくりと瞬きをすると、香はふにゃりと情けなく笑う。

「あ、あはは。なんだかほっとしたら、腰が抜けちゃった」

引きつりながら笑う香につられて、俺も少しだけ笑った。
ついさっきまで無数の銃口を向けられた危機的状況で、死を覚悟したのだ。俺の命を守る為に。
極度の緊張から開放され、気が緩むのは当然だろう。

視線を腕に移せば、ジャケットの袖を掴む手は白く握り締められ、小さく震えている。
全身で感じた恐怖が、そうさせているようだった。

笑う声が小さくなり始めて再び香へと目を向けると、今にも泣き出しそうな顔をしていて、俺は小さく息を飲んだ。
視線が同じ高さになるように、ゆっくり屈んで静かに向き合う。
崩れ落ちそうな動揺が伝わり、心を掻き乱された。

涙で揺らぐ瞳が、心の淵を覗く。
信じていいのか、迷わなくてもいいのか。そう、語りかけているようで。

初めて感じる切ない反応は、最もなものだ。
たった一度、心を曝け出したところで、それを信じてもらうには時間が足りない。
安心させてやりたくて言葉を探すが、こんな時にかける言葉なんて俺は知らなくて。
不安に顔を歪ませる香に、徐々に余裕をなくしていった。

潤んだ眼差しのまま、香は力なく問いかける。ずっとそばにいてもいいのか、と。

当たり前だと、笑って言ってやりたいのに。
色褪せた唇が紡いだ言葉に胸を鷲掴みにされ、何も言えなかった。
ただ、今にも零れ落ちそうな涙を見るのが、どうしようもなく嫌だったから。
涙が頬を伝う前に、無意識に口付けていた。

袖を握る手に力が込められ体を強張らせたのも、驚きに小さな悲鳴を上げた事も、分かっていた。
だが、重なったまま離れる事はしなかった。
このまま、全てが香へと流れて浸透すればいいのにと、都合のいい事を考えながら。


戸惑いは拭えないものの、小さな震えが治まったから、そっと離れて様子を窺う。
驚きに見開かれた瞳からはやはり涙が零れていて、俺は情けない心境でその雫を拭った。

冷たく突き放しても、想いをはぐらかしても、心を吐露しても、キスをしても。
何をしても、最終的に香を泣かせる結果になってしまう自分に、嫌気が差す。
恐らくこれから先も、泣かせてしまう事は少なくない、と思う。
だが、香へのあの言葉は、紛れもない真実だから。
俺は全てを捧げる。香と生きる為に。


青白かった頬に血の色が戻っていて、少しだけほっとする。
もう一度指の腹で涙の跡を撫ぜると、くすぐったそうに香は肩を竦めた。
涙で充血した目が、こちらを一瞥する。

「い、いきなり、びっくりしたじゃない」

ぽつりと零すと、みるみるうちに顔中を紅潮させて、ゆっくりと視線を横に逸らした。
目元が赤く染まっているのは、涙のせいばかりではないようで。
その紅い色が、俺の鼓動を駆け足にさせる。

戸惑いを隠し切れず俯く仕草がたまらなく愛おしくて。真っ赤になった顔を見たくて。
唇が触れそうな近さで、もう一度、告白した。
どうか伝わるようにと、祈りながら。

俺の声を受け取った途端、硬直した香。
動きを止めたのは一瞬、その瞳は優しさに溢れ大きく笑っていた。

縋り付いていた手が離れて、俺に向かって差し伸べられる。
長い指が傷だらけの頬を掠めた刹那、どちらからともなく引き寄せ合った。
同じ心の温度で交わす、初めてのキス。

想像していたよりもはるかに甘い感触を確かめながら、そっと目を閉じる。
なんだか現実味がなくて、何も考えられない。
ただ、首に回された細い腕の強さだけは鮮明に感じて。
それが、やけに照れ臭かった。
こんなのだったらいいのになぁ





<あとがき>
完全に自己満足なお話なので、非常に分かり辛いな…。
でも、一度書いてみたいなって思ってたんです。(12/10の記事ではイラストのみを描きましたが)
原作の終わり方もいいのですが、あそこでキスしてもなんの違和感もないですよねぇ。
てか、むしろしてくれた方がよかったなぁって今でも思いますもん^^;
あの終わり方は個人的に消化不良な感じだよなって思っていたので、創作してスッキリしました(ホントに自己満足だな!)
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MAY

Author:MAY
CH(リョウ×香)のイラストと二次小説を好き勝手に書き散らしております。
たまに他のジャンルの萌えを語る事も。
最近嵐さん(特にリーダー)にはまってます…。

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