ordinary life

シティーハンター二次創作と萌え語り

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このお話は、リクエストを基にしたものです。



リョウちゃんと香ちゃんの学園パロディものです^^
二人は高校生で同じクラスというベタベタな設定でございます。


<maybe>



「ったく、あの問題児めっ!いい加減にしてよね!」

屋上へ続く階段を駆け上りながら吐き出した声が、コンクリートの壁に跳ね返り煩く響く。
スポーツ選手のトレーニング並の運動を強要させられるのは、これで何度目だろうか。
既に両手両足では数え切れない程の回数に達している事が、苛立つ心に拍車をかけた。

最後の踊り場に到着し怒りのまま鉄製のドアを開けると、ひゅうと音を立てて入り込んできた冬の風が全身を通り抜ける。
乱れた髪を手櫛で整えながら屋上を見渡すと、奥の角の部分、いつもの定位置に人影を見つけた。
何度となく香の手を煩わせる問題児、冴羽リョウだ。

香はキッと前を見据えると躊躇う事なく彼へと近づく。
香の存在に気付いたリョウは彼女の方へ体を向けると、悪びれる様子もなくだらしのない表情で声をかけた。

「おっ、槇村さん。もしかしてまた俺の事を迎えに来てくれたのぉ?」
その白々しい言い回しに、ついに堪忍袋の緒が切れる。
「迎えに来たんじゃないわよっ!連れ戻しに来たのっ!もういい加減授業サボるの止めてよね!!」
甲高い声で喚く香をものともせず、寧ろ楽しむような心境でリョウは笑う。

彼女の意識が自分に対してのみ向けられている時、どういうわけか無性に嬉しくて、わくわくして、愉快になる。
人をからかって楽しむ性質ではないのだが。
彼女には謝罪の念を抱きつつも、この癖になりそうな精神の高揚を味わいたくて堪らない。

リョウは悪い、と謝りながら怒り心頭の彼女を宥めた。
「けどさ、あんなかったるい授業受けたって、つまんねぇんだよな」
「そんな事私には関係ないわ。つまらないんだったら寝てればいいでしょ。とにかく教室にいてもらわないと私が困るのよ!」

そうなのだ、彼の言い分など知った事ではない。
つまらないとか、そんな事どうだっていいのだ。
彼が教室にいてくれないと、クラス委員であるこの私に被害が及ぶ。
大体生徒を連れ戻すなんて、仕事の範囲ではない。
こういう生徒の処遇は教師の仕事だろう。
だが問題児である上にこの威圧的な雰囲気が、教師達を敬遠気味にさせる。
その結果、この何とも理不尽な作業がこの私に巡り巡ってきたのだ。

確かに彼は長身で体格の良さも尋常ではない。
要は、道ですれ違えば避けて通りたくなるような、出来ればあまり接点を持ちたくない部類の生徒だ。
だがどんなに外観が恐ろしかろうと、人に迷惑を掛けておいてのうのうとしているような人間に、怯むような性分ではない。
何としても自分の言う事を聞いてもらわなくては腹の虫がおさまらないのだ。

すこぶる感じの悪い笑みで自分を見下ろす彼に、ずいと一歩近づくと、恐らく無駄だとは思いながらももう一度宣告する。
「頼むから、もうサボるのは止めて!」
「…いいよ」
「へっ?」

絶対にはぐらかされるだろうと思っていた香は、思いがけない彼の返答に意表を突かれ呆気にとられる。
再三の注意をその都度無視し続けた彼が、今間違いなく『いいよ』と頷いたのだ、香は耳を疑った。

「ただし、俺のお願いを聞いてくれたらね」
「…お願い?」
唖然としていた香だったが、彼のセリフが引っかかりその意図を問うた。

リョウは今まで顔に貼り付けていた笑みを、至極真面目なものに変化させると、香の肩をグイと引き寄せた。
「ち、ちょっと!」
突然体半分を抱かれるような体勢になり、香はどういうつもりだと抗議しようと彼の顔を見上げ、はっとする。
今まで見てきたどの表情とも違う真剣さに、息をのんだ。

実は、香は彼とのやり取りの中で細心の注意を払っていた事柄があった。
それは、長い前髪の奥にある黒い瞳を意識しない事。

到底高校生とは思えない程の逞しい体の上にあるその顔は、同じく高校生らしからぬ大人びたもので、彼を密かに慕う女生徒も少なくない。
しかし香は、外見で人の応対を差別するような事はしない。
しないのだが、彼は少し例外だった。
あの瞳孔を見る度に、小さな衝撃が胸中を駆け抜ける。
そしていつもの自分らしくない、控え目な受け答えをしてしまいそうになるのだ。

今までの苦労を思うと、本当に腹が立つ。
一歩でも引き下がれば負けてしまう、自分が報われないではないか、と強気で攻めようと固く決心するのに。
なぜかあの目を意識してしまうと、その姿勢が保てなくなるのだ。
今の香が、正にその状態だった。
彼の瞳に自分が映し出されているのだと認識した瞬間、あらゆる思いが霧散する。
香は動揺を悟られまいと、堪らず視線を逸らし俯いた。

「今ここでキスしてくれたら、金輪際サボるの止めるよ」
「なっ?!」
頭上から降ってきた青天の霹靂とも言えるセリフに、香は反射的にリョウを見上げた。
「いい今、なんて…」
「だから、キスしてくれたらサボるの止めるって言ったんだよ」
先ほどの仰天発言をもう一度サラリと言ってのける彼の顔は、いつの間にか通常モードに戻っている。
してくれなきゃヤダ
「ね、悪くない条件だろ?」
ジリジリと接近する彼の態度はいつものムカつくものなのだが、先程の動揺と『キス』という単語が香を激しく混乱させた。
「なななんで…私がそんな事っ…」
「だって槇村さんって可愛くって好きなんだもん、俺」
「かかかわっ…」

うろたえる香を追い詰めながら徐々にヒートアップしている自分に、リョウは少し驚いていた。
冗談のつもりの発言を実行させたいと強く思い始めている。
いつもは強気でどちらかと言えば男勝りな彼女が、こんなしおらしい反応をするなんて少し意外で、新鮮だ。
滑らかな白い肌を、今は目元まで赤に染めて。
後少しでも近づけば泣き出しそうな彼女を、胸に抱き寄せたい衝動に駆られた。

肩に置いたままの手にくっと力を込めて引き寄せようとした刹那、彼女から小さな悲鳴が漏れる。
そっと様子を窺えば、赤い目尻に小さな涙の粒が見えた。
リョウはそこで我に返り、しまったと小さく反省する。
自分の要求をのんで欲しいと思ったのは確かだが、泣かせるつもりは微塵もなく。
思いのほか威力が大きかった涙は、リョウの心を瞬く間に鎮めたのだった。

リョウは後ろ髪を引かれる思いで小さな体を離すと、俯いたままの頭を優しく撫ぜた。
「冗談だよ、冗談」
柔かい声に香はゆっくりと頭を上げると、なぜか困惑気味の彼の様子に小さな疑問を抱く。
「驚かせて悪かった」
らしくなく、少し眉を下げて控え目に笑うから、香の心臓がコトンと跳ねる。
こんなふうに優しい笑い方もするのだと、少し驚きながら。



「槇村さんを泣かせちゃったから、今日のところは大人しく戻るよ」
「今日のところは?」

屋上のドアへと向かう二人に先程のぎこちなさは小さくなり、会話する声もいつもと同じだ。

「そう、今日のところはね。さっきも言ったけど、キスしてくれたらサボるの止めるから」
「ちょっと!それって冗談だって言ったじゃない!」

またしてもキスという言葉に過剰反応する彼女を横目でちらりと見て、リョウは薄く笑う。
やはりどうしてもその願いを叶えたいという思いは消えない。
そしてもっと深く知りたい、覗いてみたいと好奇心は膨張するばかりで、新しい欲求も増えていく。
この現象はつまり、世間一般で言う、あれなわけで。

リョウは重いドアを開け、戸惑う香を室内へと先に通す。
「冗談のつもりだったけどなぁ、やっぱり撤回するわ」
「どういう事?」
己の言葉に説明を求められたリョウは、まじまじと彼女を見つめて首を傾げる。
「槇村さんってもしかして…結構鈍い?」
「なっ、なによ突然、失礼ね!」
憤慨する彼女をケラケラと笑いながら、諭すようにリョウは説明する。
「冗談じゃなくて、本気だって言ってんの」
「…からかってるんでしょ、あんた」
「まさか、そんなわけないでしょ」

香は、心外だと言わんばかりの彼の真意を量りかねる。
逆光のせいで彼の表情は読み取りにくく、突然のアプローチもいまいち信憑性に欠けるのだ。
彼の気紛れ、どうせ馬鹿にされているのだと思うのが当然だろう。

「あんたの言う事なんて、信じられない」
そう吐き捨てると、踵を返し仄暗い階段を降りようとした。
が、次の瞬間肩を掴まれ、くるりと元の位置へと反転させられる。
そして驚いて瞬きをした同じタイミングで、額に暖かいものが触れた。
もう一度瞬きをして目に映るのは、太い首と白いシャツから微かに見える鎖骨。
その映像と彼の体温を感知した途端、香の体がガチンと固まった。

「それじゃ、信じてくれるまで口説き落とすまでだな」
ふざけたような声色でも、その言葉は冗談ではない本気の思い。

時間が止まってしまったかのような香に、今度はリョウが宣告する番だ。

「俺って結構しつこいから、覚悟しろよ」






『リョウと香の学生服でSS』というリクエストをいただいたのですが、難しいな…というのが正直な感想だったんです^^;
でも書き始めたらこれまた意外と面白くて、もうビックリ!
パロディを書くのは初めてだったので、とてもいい経験をさせていただきました。
リクエストしてくださった方、どうもありがとうございました!
拙文ですが読んでいただければ幸いでございます…。
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MAY

Author:MAY
CH(リョウ×香)のイラストと二次小説を好き勝手に書き散らしております。
たまに他のジャンルの萌えを語る事も。
最近嵐さん(特にリーダー)にはまってます…。

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