ordinary life

シティーハンター二次創作と萌え語り

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原作以上の内容です。
リョウちゃんがかなーり子供っぽいです^^;




<それは、仕方のない事>



疲れ切った体を引きずるようにしてリビングへ入ると、二人無言のままソファへ倒れ込んだ。

リョウは背凭れに首を預け上を向いたまま目を閉じている。
香はL字型の部分に体を折り曲げて横になっていた。

「お疲れ様…リョウ」
「…お前もな」
小さく言葉を交わすと、同時に大きな溜息を漏らした。


久しぶりに舞い込んできた大きな依頼をようやく解決した二人は、仕事を完遂した充実感と重い疲労感を味わっていた。

若干重くなった瞼をそろりと開けると、白い天井から傍らにある気配へと視線を移動させる。
疲労困憊の香は固く目を閉じたままピクリとも動かない。
綺麗な足を包むジーンズに付着した砂埃が、彼女の奮闘振りを物語っていた。

その体に、触りたい。

頭の中で、チカチカとシグナルが点滅する。

リョウが今求めているのは、休息ではなく香だ。

ついさっきまで愛銃を握っていた。
掌にその重みと感触がリアルに残っている。
熱が保たれたままの銃はまるでリョウそのもので、精神は落ち着かないまま昂っている。
気分が高揚している時は決まってこの衝動に駆られる。
熱を鎮めようとする思いが安息を求め、自然と香を必要としているようだった。
それに長期に亘る依頼の間は、当然依頼人がこのアパートに滞在していた為、もう随分香を抱いていない。
今己の欲求を突きつければ、返ってくる反応は容易く推測できた。
しかし、だからと言ってこの衝動を抑えられるはずもなく。
リョウはふ、と息を吐くと緩慢な動作で体を起こし、横たわる体へと手を伸ばした。


「…おふろ」
「…あ?」

しんと静まり返った室内の空気をそっと動かすような声に、リョウは伸ばしかけた手を止める。

「おふろ…入ってくる」
独り言のようにポツリと呟くと、香はのろのろと立ち上がり足取重くそのままリビングを出て行ってしまった。



「…逃げたな」
一人リビングに残されたリョウは舌打ちと共にそう漏らすと、しかめっ面でタバコに火を点けた。

面白くない。つまらない。腹が立つ。

自分と香の心情の差異を感じる度、子供染みた苛立ちがふつふつと湧き上がる。
こういう気分にさせられるのは、日常生活においても多々あった。
例えば朝目が覚めた時、既に香がベッドから抜け出していたりすると、今のような最悪な気分になる。
互いの体温と匂いが混ざった空間は、どんな場所よりも心地よく、いつまでも離れ難くて手放せない。
ずっと留まりたいと、強く思うのだが。
現実的なパートナーは、そんなリョウの甘い思考とは正反対の事を考え、その温もりをあっさりと捨てるように朝の仕事に精を出す。

いや、それは悪い事ではない。
寧ろ彼女がそういう性質でなければ、快適な日常が送れない事ぐらいリョウにだってよく分かっている。
そう理解はしているのだが、でも、やはり面白くないのだ。
どんなに濃密な夜を過ごしても、余程の事がない限り香は決まった時間に目覚め、お決まりのスケジュールを律儀にこなす。
そんな彼女に感謝しながらも、少しぐらいは自分と同じ事を想ってくれてもいいのではないか、と言いたくなるのだ。

よくよく考えてみれば、リョウの奇襲を恐れての淡白な自己防衛なのかもしれないと思ったりもする。
でも、これではあまりにも惨めで虚しい。
まるで自分ばかりが香に飢えているようで、みっともないではないか。

1本吸うだけのつもりが、いつの間にか4本目に火を点けようとしている事に気付いたリョウは、手にしたタバコをテーブルに放り投げソファにどんと寝転んだ。
「大人気ない…よなぁ」
客観的かつ冷静に自分の幼稚な心理を分析するも、やはり苛立ちは消える事はなく。
リョウは盛大に舌打ちをすると、一連の思考を遮断するように目を瞑った。



「何とか捕まらずに済んだわね…」
少し熱めのシャワーを浴び一日の汚れを洗い流した香は、ドレッサーに映る自分に呟いた。

危ないところだった。
あの時行動を起こすのが後一秒でも遅かったら、今頃間違いなくソファに押し倒されていただろう。

リョウと密な関係になってから気が付いた彼独特の習性は、非常に厄介だ。
銃を使った後、血が騒ぎ気分が高揚するのは、長年に亘る過酷な世界での生活が原因だろう。
軽い興奮状態の時は、どんな状況でも見境なく求められる事を香は学習していた。
そうされる事自体を拒む気はない。
ひたすら想い続けた人の手をはねつけるような事など、するはずもない。

だが、行為に至る為の条件が完全に揃っていないとなると、話は別だ。
先程のように寝室以外の場所で、しかも汗と埃に塗れた体を晒し抱かれる事は最も避けたい事態だ。
一度その手に捕まってしまえば、本気になったリョウから逃れることは不可能。
だから香はリョウの行動を予想した上で、逸早く彼のテリトリーから脱出したのだった。

鏡に映る白い肌には、薄紫の痕が点在していた。
鮮やかさが失われているのは、随分リョウに抱かれていない証拠だ。
きっとまたリョウの元へ行けば、あっという間に真新しいものを付けられるだろう。
やがて訪れる嵐のような時間を思うと、疲れているはずの体に追い討ちを掛けるような熱が生まれ、香は苦笑した。




リビングへ足を踏み入れるなり、香はタバコの匂いに顔を顰めた。
険しい表情のままそっとリョウに近づき顔を覗き込むと、リョウもなぜか険しい顔をして寝ている。


「遅い」

眠っているのだと少し気を緩めた香の手を掴むと、リョウは今まで自分が寝そべっていた場所へ香を引き込んだ。
背中に感じるソファに残った温い温度に、香の鼓動が駆け足で早くなる。
多分こうなる事を予想していたはずなのに、こうして少しでもリョウの欠片を感じてしまうと、冷静さは失われ頭の中が霞み始める。

薄い肩を押さえる大きな手に俄かに力が込められ、丸い瞳が一度瞬きをする。
次の瞬間、鼻先をリョウの前髪が掠め、乾いた唇が落ちてきた。
途端に口内に広がるいつもよりきついタバコの味に、香は息苦しさを覚え、ぐいと唇を押し付けようとするリョウの背中を叩いた。

「…なんだよ」
キスを否定するような香の行動に、明らかに不機嫌になったリョウはぶっきらぼうに呟いた。
「リョウ、タバコ吸い過ぎ」
「あ?」
「だって、いつもより匂いが強いんだもん」
「…ああ」
キスを拒んだ理由が判明すると、リョウは一度テーブルの上の灰皿に目をやり、再び香へと戻す。
「お前の風呂が長過ぎるから、悪いんだろうが」
憮然とした態度でそうのたまうリョウに、香は堪らず吹き出した。
「…何笑ってんだよ」
眉間に皺を寄せ訝しむリョウに、香は更に笑い声を大きくした。

上から見下ろすその顔は、完全に拗ねた子供のようで、香は笑いを止められない。
恐らく自分が不在の間、悶々とした表情でタバコを吹かしながら待っていたのだろう。
その姿を想像するだけで、可笑しいような嬉しいようなくすぐったさに、顔が綻んでしまう。

「ご、ごめ…リョウ。待たせちゃって」
何とか笑いを収めると、向かい合わせの大きな胸にするりと手を這わせた。
「あのままじゃイヤだったし…やっぱりちゃんとキレイにしないと」
「思いっきりできないし?」
苦虫を噛み潰したような顔から一転して、いやらしい笑みを浮かべたリョウと目が合うと、今度は二人してクスリと笑った。
正直に言って何が悪い
「ひとりで…寂しかった?」
「早くヤりたくて仕方なかった」
「…ちょっと、その露骨な言い方、どうにかならないの?」
「んな事どうでもいいだろ?本当の事だ」
肩に置かれたままの手がするすると細い首を伝い項へと回され、香はふるりと体を震わせる。

「もう待ちきれん」

項へ当てた手で首を固定すると、今度こそ止めるものかと香の唇を深く塞いだ。
やはりタバコの匂いは強いものの、久しぶりのリョウの唇の感触は甘くて柔かくて強くて。
香は頬や鎖骨を撫ぜる手に、口内を愛撫する舌に、くらくらと酔い始めていた。

が、重要な事に気が付いた香は、本当に怒り出すかもしれないと思いながらも、再びリョウにストップをかけた。

「今度はなんだよ」
「リョウもおふろに入って」
本格的に苛立ちを見せ始めたリョウに、香は小さく呟いた。

香が埃塗れだったという事は、必然的にリョウも同じ状態なわけで。
仄かな石鹸の香りを漂わせる体を抱きしめるリョウは、あちらこちらが汚れている。
こんな状態では今から事に及ぶなどとても無理だと、香はやんわりと説明した。

かなり気に食わないが、最もな事を言われ渋々納得すると、リョウは仕方がないと肩を落とし香から離れた。
「シャワー浴びてくる」
「うん。じゃ、私」
「お前も一緒だ!」
部屋で待ってる、と言葉を続けようとした香を素早く横抱きにすると、リョウは全速力でバスルームへと向かう。

「こっ、こらっ!私は一緒じゃなくてもいいでしょうが!」
「折角風呂に入ったのにタバコの匂いが移っちまっただろ?だからもう一回入れ!」
「いいわよ、入んなくてもっ!リョウ一人で入ればいいじゃない!」
「ダメ~。俺を一人で待たせた罰だ」
「罰ってなんだ?!私は悪い事してないでしょ?降ろせー!!」
「もう一緒に入るって決めたもんね~。これは絶対命令だ!」

キャンキャンと喚いている間にバスルームに辿り着いた二人の表情は、明暗くっきりと分かれ対照的だ。
「一緒に入る、だろ?」
有無を言わせないリョウの強引な振る舞いに、今度は香が仕方ないと肩を落とす。
「もう…好きにして」
こうと決めたら何が何でも押し通すのが、この男の困ったところで。
ここは早々に抵抗するのを止めて素直に従った方が得策だと、香は観念した。

ちらりと上を見上げれば、にんまりと笑うリョウ。
その顔は、これから自分を抱こうとする男とは到底思えないほどのあどけなさだから、香はすっかり毒気を抜かれてしまう。

香はガチリと固まっていた体の力を抜くと、太い首にゆっくりと腕を回し耳元に唇を寄せた。

「…どうか、お手柔らかに」
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MAY

Author:MAY
CH(リョウ×香)のイラストと二次小説を好き勝手に書き散らしております。
たまに他のジャンルの萌えを語る事も。
最近嵐さん(特にリーダー)にはまってます…。

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