ordinary life

シティーハンター二次創作と萌え語り

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原作程度のお話です。少し短め。
リョウちゃん視点の内容です。




<I need you>



「あ、リョウ、お醤油取って」
「…あ、ああ」

色気も何もない言葉を紡ぎ出す鮮やかな唇に、心臓は忙しなく動いて。

「ホレ」
「ありがと」

黒い液体の入ったビンを受け取ろうと伸ばされた綺麗な指先に、危うく触れそうになって妙な汗を掻く。

「ん、美味しい」

目の前に並べられた料理を食べながら目を細めて笑う香に、過剰に意識する俺はなかなか箸が進まない。

「ねぇ、リョウ」
「…あん?」
「今日のご飯、美味しくない…?」
「あ?」

少し眉を下げて俺の様子を窺う香に怪しまれないように、勤めて平静を装った。

「あんまり食べてないみたいだから…」
「んな事ないぞ、とりあえずちゃんと食えるし」
「…ムカつくセリフね。たまには美味しいぐらい言いなさいよね、もう」

今度は少し眉を上げて軽く睨む香に、俺はいよいよ焦り始め、暴走しそうな自分を止める為に味わう事もせず、料理をかき込んだ。


テーブルの向こうに座るのはいつもの香だが、でも、そうではない。
中身は何ら変わらないのだが、外見が明らかにいつもと違う。



買い物から帰ってきた香を見た俺は、愛読書を片手に唖然とし暫く固まってしまった。
ただいま、と微笑む顔には、普段殆どしない化粧が施されており、少し小さな唇にはパールピンクのグロスが塗られている。
デパートの化粧品コーナーで声を掛けられメイクしてもらったのだと、呆然とする俺のそばに駆け寄り、嬉しそうに身振り手振りで話すその指先は、唇と同色のマニキュアが塗られていて白い指にとても映えていた。

綺麗だと、素直に思った。
だがそれは言葉にはならず、胸の中に留まる。
口にするには、理由が必要だ。

例えば、寒さに凍える手を暖めるにも。
悲しみに小さくなった背中を抱きしめるにも。
香に向けられて作用する感情を素直に表現する為には、理由がなければならない。
それが今の現状だ。

馬鹿みたいに口に飯を放り込んでいる今も、たった一言を言葉にする為に、その理由を探している。
だがそれは、いつも簡単には見つかりはしない。
そして、最後には結局見つけられずに、疲弊して諦める。
諦めてしまうぐらいなら、いっその事吐露してしまえばいい。
そうすれば、精神を削り心を酷使する事なく、安息を手に入れられるだろう。
香もきっと、躊躇いがちにはにかみながら応えてくれる。
自惚れでもなく、そう思えるのに。
前に向かおうとする心は、得体の知れない巨大な力に引き戻される。
同じ空間に閉じ込められた二つの心がせめぎ合って、一つになろうとしない。

本能を制御する理性はもう、風前の灯で。
燃え尽きてしまえば、その先一体どうなるのか、想像する事が少し怖い。
意思をコントロール出来ずに手に負えなくなる前に何とか策を講じたいものだが、厳しい現状は情けないがすぐには変えられそうもない。



食物を咀嚼し空になった口からは、小さな溜息が勝手に漏れた。
「ちょっと、もしかしてどこか具合でも悪いんじゃないの?」
テーブルに手を着き身を乗り出して接近した香に我に返った俺は、縮まった距離の分だけ後退した。
「別にどこも悪くねぇよ」
「でも、いつもより食べてない気が…」
言いながら長い睫毛を伏せ落とされた視線の先には、少量残された料理があった。
いつもなら容易く全部平らげるのだが、今日ばかりはこれ以上摂取出来そうにない。

残った料理とどこか様子が違う俺に、香の表情には落胆の色が浮かぶ。

こういう場合もそうだ。
笑顔に変える為の言葉を素直に言えず、理由を模索している。

もう一度息を吐くと、まるで腫れ物を触るような慎重さで、香の頭を撫ぜた。

「お化粧した香チャンがあんまり綺麗だから、緊張してんだよ」
「なっ?!」

偽りのない言葉でも、からかうような笑みで言ってしまえば、相手には冗談としか受け取ってもらえない。
それを理解していても、やはりどうしても真剣には言えなくて。

香は、俺の言葉に耳まで赤く染め俯いている。
俯いたままで、笑ってくれないのは、俺の本音に半信半疑だからだ。

頬を紅潮させながら、最後に微笑んでくれる為には、やはり硬質な壁で囲われた想いを放つしかない。
差し出された手を取って、この胸に閉じ込めて、伝えるしかない。
お前が、必要なのだと。

そのてをとって
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MAY

Author:MAY
CH(リョウ×香)のイラストと二次小説を好き勝手に書き散らしております。
たまに他のジャンルの萌えを語る事も。
最近嵐さん(特にリーダー)にはまってます…。

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