ordinary life

シティーハンター二次創作と萌え語り

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
このお話は、先日頂きましたリクエストを基にしたものです。
リクエストしてくださったマドカ様、ありがとうございました^^


<変わらない日常>



静かな店内に広がるコーヒーの香りは、慣れ親しんだものとは異なるが、自分の嗜好に合っていて心が落ち着く。
だが、目の前の女店主の存在がそうさせるのを許さない。


「…あのさぁ、美樹チャン、いい加減ニヤニヤすんの止めてくれない?」
「んふふ~。イ・ヤ・よ♪」

満面の笑みを浮かべ、リョウの願いを迷う事なく切り捨てた彼女に盛大に溜息をつくと、リョウはがっくりと項垂れた。

美樹を無条件に笑顔にさせるわけは至極簡単、香との関係が明るみになってしまったからだ。
隠し事の出来ない香の事だ、公言せずとも自ずと知れ渡ってしまうのも時間の問題だと覚悟はしていたが、こうして見せ物のようにジロジロと見られるのは、どうも居心地が悪い。
これ以上ここにいては何を訊かれるか分かったものではないと、早々に帰ろうとしたのだが、ドアベルの音がリョウの動きを止めた。

「あれ、リョウ。来てたんだ」

リョウにとっては最悪のタイミングで香が現れ、更に表情が曇る。
そして香の後ろから続けて現れたミックに、リョウの心情には若干の嫉妬も混じり、複雑なものとなる。
香の関係する事となるとご自慢のポーカーフェイスも崩壊し、流れ出る独占欲が黒い瞳に滲み出ていた。

「駅前で偶然会っちゃって、そこから一緒に来たの」

リョウの醜くも子供じみた男心に欠片も気付かない香は、いつもの席へと腰を下ろした。
香を挟むようにその隣へと座ろうとしたミックは、リョウと目が合うなり片眉を上げてニヤリと笑った。

「ようリョウ…何か言いたそうだな?」
「…べっつに~」

リョウは極めて冷静なフリをすると、フイと視線を逸らした。


「あ~あ…今日も依頼ナシよ」
憮然とするリョウの隣では、ほとほと困り果てたように香がいつもの文句を零した。
「…もしかして、新記録樹立か?」
「そのとおりよっ!!」
まるで他人事のように振舞うリョウに、香は目尻を吊り上げて怒鳴った。
「もう本当にヤバイわ…。私たちこのままじゃのたれ死んじゃう!」
「アホ、んなわけないだろが。ま、そのうち依頼も来るだろ、大丈夫だって」
「そのセリフは聞き飽きたわよ!そんな事言ってもう3ヶ月にもなるのよっ!」

飄々とした態度のリョウに、キャンキャンと喚く香。
これはいつもこの店で繰り広げられた日常の風景だが、何かが微妙に違う事に他の二人が気付いた。
リョウと香を傍で見ていた者にしか分かる事のない、些細なもの。
まなざし

明らかに変化したのは男の方、そしてそれをもたらしたのは他でもない香だ。
香を見つめるリョウの瞳が、ひどく穏やかなのだ。
以前から香を前にしたリョウは穏やかではあったが、今は少し種が異なる。
憂いや躊躇いといった負の気配が消え、まっさらな深い情が香を包んでいた。

男の小さくそして大きな変化に、美樹とミックは暫し言葉を失った。
あれだけ己の心をひた隠しにしてきたリョウが、無意識のうちにその想いをあらわにしている状況に、驚かざるを得なかった。



「…見せ付けてくれたわね」
「…だな」

あれから『こうなったらビラ配りだ!』と、香はリョウの首根っこを捕まえて店を後にした。
店内には心底嬉しそうに微笑む美樹と、苦笑するミックが残された。

「せっかくリョウをからかってやろうと思ってたんだがなぁ」
「あら、からかう、じゃなくって邪魔する…の間違いじゃないの?」
「…君って結構意地悪だよな」
「私って浮気な男には優しく出来ないの」

美樹らしい真っ直ぐな言葉に、ミックは小さく笑った。
自分にはかずえという最愛の者がいるが、初めて心を奪われた彼女に対する想いが少なからず残っている事は自覚している。
以前のような危険を孕む類の感情ではなくなったにしろ、やはり心中は複雑なのだ。

「しかし、あんな二人を目の当たりにしたら何も言えなくなるな」
「ホント、冴羽さんがあんな顔するなんて…驚いちゃったわ」
「確かに。人間変わるもんだよなぁ」

ミックは感慨深げに呟くと、席を立った。
「さてと、そろそろ失礼するよ。今日はかずえが学会から戻ってくるからね」
いつもの優しい笑みで嬉しそうに話すと、ミックも愛しい彼女を迎えるべく店を後にした。


美樹はリョウの変化を喜ばずにはいられない。
香と自分は、言わば同朋のようなものだ。
だから香の迷いや苦悩が、痛いほど分かっていた。
その彼女が自分と同じように、当たり前の、だけどかけがえのない幸せをようやく手に入れた事が嬉しかった。

長い間歯痒い距離を保ち続けた二人の変化は、それを取り巻く人間にも少なからず何らかの影響を与えているのだった。





『みんなの前でイチャイチャしている二人』というリクエストを下さったマドカ様、全くイチャコラしていない内容ですみませんっ><
みんなの前ではあからさまにイチャつくというより、自然なやり取りの中で二人の世界を作っている…要は無意識にいいムードになっちゃうかなぁ…と思ったものですから。
…って、いいムードにもなってませんね…。
深い関係になってから、リョウちゃんの表情が自然と優しくなったのではないかなぁ、と妄想させて頂きました。
素敵なリクエストを、どうもありがとうございました!
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://qazzz.blog31.fc2.com/tb.php/261-c2b9365e

MAY

Author:MAY
CH(リョウ×香)のイラストと二次小説を好き勝手に書き散らしております。
たまに他のジャンルの萌えを語る事も。
最近嵐さん(特にリーダー)にはまってます…。

名前:
メール:
件名:
本文:

この人と友達になる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。