ordinary life

シティーハンター二次創作と萌え語り

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『天野翔子さん編』を基にしたお話、2話目です。
目を覚ましてからの二人のやり取りが中心。
全体的にリョウちゃん視点です。

<安らげる場所(2)>



冷たい空気が頬を掠め、リョウは意識をゆっくり浮上させた。
冷たいと感じたのは頬だけで、体はほんのり暖かい。

何度か瞬きをして見上げると、そこには同じリズムで頭を揺らす香がいた。


あのまま眠っちまったのか、二人とも…。


時計に目を向ける。
ほぼ一時間といったところか。

こんな状況で一時間も深く眠っていた事に、リョウはひどく驚いた。

普段でさえ眠りは浅い。
既にリョウは、深く眠る事が出来ない体だ。
なのに、この一時間記憶が抜け落ちている。

香に全てを預けて眠っていた自分が、妙に気恥ずかしかった。

いい歳して膝枕が気持ちよかったなんて、笑えねぇな…全く。

ふ、と一つため息をつくと、リョウはそっと体を起こした。

苦しそうな体勢で眠る香。

一時間も重い体を膝に抱いていたこの女に、言い様のない愛しさが込み上げていた。


「…ん」

リョウの重みを失った事を感じて、香もゆっくり目を覚ました。

「…起きたか?」

香と今顔を合わせるのは少し照れくさかったが、リョウはそっと声をかけた。

「あ、れ…私、いつの間にか、寝ちゃってた?」
寝起きのせいか、少し話し方が幼い。

「ああ、少しな」
「そっか…」

「俺も寝てたけどね、ここで」
リョウは、先程まで体を横たえていた場所をポンと叩いた。
何の事か分からなかった香も、ようやく自分のした事を思い出すと、慌てて捲くし立てた。
「あ、あれはっ、その、リョウが寄りかかってきて、何か変な体勢だったから仕方なくやったのよ!そのまま床に寝せたら寝違えちゃうかもしれなかったし!べっ別に深い意味はないんだからっ」
変な言い訳を必死になって言いまくる香が、おかしいやら可愛いやら、リョウは知らず笑っていた。

「わーってるよ、んな事は」

息を乱す香の顔を覗き込む。
リョウの瞳はいつになく優しくて、香は呼吸が落ち着かない。

「サンキュ、香」

小さな頭を引き寄せ、軽く胸に抱いた。

「お陰で…よく眠れたよ」

耳の奥で響く静かな声と規則正しい心音に、香はまた泣きそうになった。


二人とも暫く動けずにいた。
互いの温もりが愛おしくて、逃したくない。


リョウは思わず香を引き寄せようと伸ばした手を、止めた。

このまま強く抱きしめたい、それが本心だった。
だが、それを躊躇う想いも、本心。

己の気持ちも見えず片付かないまま、香を抱く事など出来なかった。



「まだ、朝まで時間があるな…」

静寂を破る声に、香はそっとリョウから離れた。

「こっち来いよ、風邪ひくぞ」

毛布を半分羽織るともう半分を広げ、そこに入るように香を誘う。

冷たい床に座っていた香は少し躊躇った後、のろのろとその小さな空間に入り込んだ。
もどかしい隙間には、二人の体温が混じり始める。


「眠れそうか?」
「…ううん」
「だよな…」

リョウは、一つため息を漏らすと小さく笑った。

「今度は俺が膝枕してやろうか?」
「えっ!いいわよっ、そんな事しなくて!」
また顔を赤くして、首を横に振る香。

やっぱりそう言うと思った、とリョウは少し残念そうに笑う。

リョウに体を預けて眠る事など、香には出来るはずもない。
そんな事はリョウにも分かっている。
その事実が、リョウには少し残念に思えた。

互いの温もりを感じる事に、素直になれる未来。

それを手に入れる可能性はあるだろう。

だが、目の前に突きつけられた二つのカードの、どちらかを選ぶ事が出来なければ。
香と共に在り続ける、揺るぐ事のない決意がなければ、互いに安らぐ事など叶う事はない。



「せっかく人が親切で言ってやったのに」
「だ、大丈夫だってば、もう」

ぷいと反対を向く香の耳は真っ赤だ、きっと顔中赤くなっているんだろう。

リョウは、微かに甘い香がする頭を引き寄せると、肩に乗せた。

「じゃぁ、こうしてろよ…」
今夜だけ
強張った細い肩を、柔かい髪を撫ぜると、少しずつ肩に落ちてくる重み。


今夜だけ、この一時だけでいい。

心を空っぽにして、この温もりを感じたかった。

いつか来る、決断の日。
そう遠くないその時をぼんやりと思いながら、リョウは目の前の薄い暗闇を見つめた。
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MAY

Author:MAY
CH(リョウ×香)のイラストと二次小説を好き勝手に書き散らしております。
たまに他のジャンルの萌えを語る事も。
最近嵐さん(特にリーダー)にはまってます…。

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