ordinary life

シティーハンター二次創作と萌え語り

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原作以上のお話です。
ほんのり甘めです。よろしければどうぞ…。

<precious kiss>



眠る事を知らないこの街は、夜になっても闇に包まれる事はなく騒がしい。

冷たい鉄柵に凭れかかり肺に吸い込んだ煙を吐き出すと、濁った夜空を見上げた。
ちょっと一服

「星も見えやしねぇな…」

短くなったタバコを消し部屋へ戻ろうとしたその時、屋上のドアが音を立てて開いた。

「やっぱりここだったんだ」
笑いながら俺に近づく香の手には、2本の缶ビールが握られている。
そして、ビールを持つ香の姿を見て、俺は不覚にもドキッとした。

「どう?結構似合うでしょ?」

香が身に纏っているのは紺色の浴衣だった。
裾のほうにある色とりどりの朝顔と、胸の下に巻かれた臙脂色の帯がとても鮮やかだ。
浴衣から香の顔へ視線を移すと、いつもはあまりしない化粧が軽く施され髪も襟足の部分を少し上げている。
俺は香の問いかけにも答えず、暫しその姿に見入ってしまった。
「美樹さんから着付けの仕方を教えてもらったの。ね、結構キレイに着れてるでしょ?」
香はクルリと回ってみせる。
「…ん、まあ、なかなかだな」
「なによ、その微妙な感想は」
俺の曖昧な答えに、香は不機嫌に口を尖らせる。
見蕩れてたなんて正直に言えるわけないだろ、と心の中で呟いた俺に香は持って来た缶ビールを差し出した。
「ま、どうせリョウにまともな答えなんて期待してなかったけどね」
「…あっそ」
俺は缶ビールを受け取ると、ボソッと呟いた。
香は俺の横に来ると、同じように鉄柵に背中を預けて缶ビールを一口飲んだ。
反った喉が僅かに動く様がやけに色っぽく見えて、またしても俺は鼓動が早まった。
どうも、今日の俺はいつもと違う香にドキドキしっ放しだ。

「さすがに夜にもなると、ここは涼しいわね」
「だな」
二人の間を太陽の熱を落とした風が吹き抜けていく。

あ、と何か思い出したように香が口を開いた。
「なんか思い出しちゃった、ふふっ」
「…何を?」
くすくす笑う香に、俺はその先を促した。
「ここでリョウに初めてキスされた事」
「は?」
「え、もしかして忘れたの?したじゃない、ここに」
目を丸くしながら、香は自分の額を指差した。
「…ああ」
あの時のな…とようやく思い出した俺に、忘れてたなんて酷い男だと、また香は口を尖らせた。


『これからもよろしく』

俺に手を差し伸べ、あの時香はいつもと変わらない笑顔でそう言った。
もう二度と向けられる事はないと思っていた、愛しい笑顔で。


俺の生きてきた過去は普通じゃない。
地獄の様な凄まじい世界を生き抜いてきた。
あんな世界が存在するなんて、普通の人間は思いもしないだろう。
香も恐らくその一人だったはずだ。
俺のパートナーを勤めているとはいえ、元々表の世界の人間。
常に何かの影に怯え地面を這い蹲りながら、日々を戦い生きていくような異常な世界があることなど知るはずがなかった。
まして、俺がそこに存在していた事など。
だが、香はその事実を知ってしまった。
俺の全てを知ってしまった。
香はきっと俺の悲運を憐れんだだろう。そして恐怖しただろう。
香の気持ちはもうずっと前から分かっていた。
だが、いくら想いを寄せる男でも、あんな血生臭い過去を持つ者に対して憐れみはあっても、愛情など掻き消えてしまう。
香は俺から離れていく、そう思っていた。

しかし香は俺の全てを知っても、共にいる事を選んだ。
俺の過去も丸ごと受け入れ、傍にいてくれた。

あの時俺の中に生まれた感情を何と呼べばいいのだろう。
本当は差し出された手を引き寄せ、その暖かい体をきつく抱きしめたかった。
その唇に口付け、何もかも奪い香の全てを俺のものにしたかった。
一種の破壊衝動にも似た激しい愛情が、腹の底から湧き出しているようだった。



「あの時のキス、ホントにびっくりしたなぁ…」
香の声が、過去に思いを巡らせていた俺の意識を引き戻した。
「おでこにキスしただけだろ?」
「だ、だってまさかリョウが私にそんな事するなんて思ってなかったし…」
「それにファーストキスもまだだった…もんな?」
「うっ、うるさいな、もう!」
からかいの言葉に香は顔を赤らめそっぽを向いた。

「…俺にとってもあれが、ファーストキスになるのかな?」
「…え」
向こうを向いていた香は、俺の声に再び顔をこちらに向けた。

暴れそうな本能をなけなしの理性で抑えたあの時のキス。
額ではあったが、俺の唇で初めて感じた香の肌だった。
あの後自室に戻った俺は、あの甘い感触に僅かに体が震えていた。
一夜限りの女と何度もした行為とは全く違うものだった。
微かに触れただけのキスは、俺にとっても初めての体験だった。

「俺も香もお互いファーストキスの相手って事だよ」
「?」
訳が分からない、と香は首を傾げている。
「あの時はおでこにチューだけで真っ赤になってた香も、今は随分大人になったよな~。リョウちゃんのお陰で♪」
「もう、どうしてアンタってからかう様な事ばっかり言うのよ!」
リョウのバカ、と俺の胸に拳をぶつけようとしたその手を掴むと、俺はアルコールで少し熱くなった体を引き寄せた。
あの時と同じように。

「今日のお前があんまりキレイだから俺も照れてんだよ。だから照れ隠しでつい意地悪したくなるの」
俺の素直な言葉に、胸の中の香が更に熱くなるのが分かった。

「すっげぇ、キレイだ…」
「…だったら最初っから素直にそう言ってよね、もう」
「…了解」

俺は上気した頬を撫ぜるとそっと前髪をかき上げ、少し汗ばんだ額にそっと唇を落とした。



~おまけ~
「ねね、香チャン」
「なに?」
「浴衣脱ぐの手伝おうか」
「え、いいわよ。自分でやるから」
「遠慮するなよ、な」
「…アンタもしかして、帯をグルグル~ってやりたいなんて思ってる?」
「…ちっ、バレたか」
「やっぱり!絶対にダメ!!」
「いいじゃん、やらせてよ~!」
「ダメったらダメ~!!」
「あのなぁ、このグルグルは裸エプロン同様男のロマンなんだぞ、やらせろ!!」
「なに訳の分かんない事言ってんのよ、アンタは!」
「頼むっ!一生のお願いだ!!やらせてくれっ!!」





『夏デート』というリクエストを下さったサキ様、イヤンな内容になると言っておきながら全く違う内容になってしまいました、すみません…。
せっかくリクエストしていただいたのに、Rモノじゃなんか申し訳ないなぁと思いまして。
二人には夕涼みデートでほんのり甘くなってもらいました(笑)。
読んでいただければ幸いです。
この度はリクエストしていただき、本当にありがとうございました!!

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MAY

Author:MAY
CH(リョウ×香)のイラストと二次小説を好き勝手に書き散らしております。
たまに他のジャンルの萌えを語る事も。
最近嵐さん(特にリーダー)にはまってます…。

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