ordinary life

シティーハンター二次創作と萌え語り

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原作以上のお話です。
今回リョウちゃんが危険な目に遭ってしまいます。
流血シーンもあるので、苦手な方はご注意を…。
いつもの如く突っ込みどころ満載ですが、よろしければどうぞ…。

<真昼の月>



名を叫ばれ振り返ったその時、香の体を隠すようにリョウが覆いかぶさってきた。
同時に間近で聞こえた銃声に、香は瞬時に硬直した。
一瞬の出来事で一体何が起こったのか分からない。
しかし、その細身にリョウの体重を感じることで、香は次第に震え上がった。
香の体をズルズルと滑るようにして倒れこむリョウを支えようとしたが、その巨体を抱きとめられるはずもなく、二人同時にその場に崩れ落ちた。

香を庇い、リョウが撃たれた。
壊滅させたアジトに潜んでいた男が、香に銃口を向け発砲したところを、リョウが庇ったのだ。
その男にもっと早く気が付けばよかったのだが、二人とも依頼が片付き油断していた。
リョウが男に気付くより先に、男が発砲するほうが早く、間に合わないと判断したリョウは身を挺して香を守ったのだ。
リョウは背中越しに男の命を絶ったが、男の撃った弾丸までは避ける事が出来ず、左肩に2発の銃弾を浴びた。
香は、恐怖で震える体を奮い立たせ、リョウの傷口を止血しながら海坊主に連絡を取り、冷静に行動する。
やがて駆けつけた海坊主によって、リョウは教授宅に運ばれ治療が施された。
傷口からの出血は酷かったが、強靭な肉体を持つリョウにとっては致命傷になる事はなく、一ヶ月程度で完治するだろうとの教授の言葉に、香は胸を撫で下ろした。


薬品の匂いがする部屋に置かれた白いベッドにリョウは眠っている。
静かな部屋には、苦しげに息を吐くリョウの声がするだけ。
『傷のせいで2、3日は高熱が続くだろう』
その教授の言葉どおり、リョウは熱と傷の痛みにうなされ、固く目を瞑ったその顔には玉になった汗がいくつも浮いていた。

香はタオルで噴き出す汗をそっと拭くと、傍にあるイスに座った。
苦痛に顔を歪めるリョウを見た途端、体中が恐怖で大きく震えだし、強張った。

左肩に巻かれた白い包帯は、未だ止まりきらずに少しずつ流れ出す血で薄赤に染まっている。

大量の血が流れていた。
暗い倉庫の中で、流れ出る血を止めようと傷口を圧迫したがその流れは止まることなく、香の白い手を赤く染めていく。
あまりにも鮮やかなその色が目に焼きついて、香は眩暈を覚えた。
生暖かいリョウの命を感じながら、香はひたすら名を叫んだ。
声が枯れるまで、何度も、何度も。

香の手に付着した血液はきれいに流されたが、爪の間に染み込んだ血は黒くこびり付いていた。
香は震える両手で、痛みに耐えるように固く握られたリョウの手を握り締めた。
その手は燃えるように熱く、まるで消えかけた命を蘇生させているようだった。
リョウの手から伝わる熱さに、香の瞳から涙が零れ落ちた。

もし、撃たれた場所がもう少しずれていたら。
もし、心臓や頭部だったら。
もうこの熱を感じることは、二度となかっただろう。
リョウは、死んでいた。

どんなに闇の世界の頂点に立つ男でも、絶対の強さを誇る男でも、リョウは生身の人間だ。
傷つけば血を流し、一発の銃弾で命を落とす事だってある。
この世界に生きる人間ならば、常に頭に叩き込んでおかなければならない、当たり前の事実。
その事実から、香は目を背けていたのかもしれない。
リョウに限り、そんな事はあるはずないと。
しかし、目の前で苦しむリョウが、その現実を嫌というほど突きつけている。
死、という残酷な事実。

リョウの名を叫びながら死を思った時、今までに感じたことのない恐怖に襲われた。
独りになるのが怖いんじゃない。
リョウのいない世界で生きていくのが怖かった。
愛する者のいない無意味な世界で生きていく事が、香にとって何よりも恐ろしく感じた。

『愛する者の為に生き延びる』

ふと、あの時の声が心に響いた。
初めてリョウが口にした、香への想い。
その想いは揺らぐ事なく、リョウは香を守り、今こうして必死に生きている。

香は熱い拳に額を当て、祈らずにはいられなかった。
この世界で二人生きる限り、同じような事があるだろう。
でもどうか、少しでも長く、一秒でも長く、愛する者と共にいられるように、と。

「…リョウ」
嗚咽混じりの声を落としたその時、リョウの手が僅かに動き香は顔を上げた。
「…か、おり……」
「リョウっ!」
短い息を吐く口から微かに名を呼ばれ、香はリョウの手をぎゅっと握り締めると、それに応えるようにリョウの手が握り返してきた。
瞳は閉じたままだが、意識が戻ったようだ。
「…ここ、は…?」
途切れ途切れのその声に、香は涙を止められずにいた。
「…教授の…ところよ」
「…そうか」
香は、意識が戻ったら教えてくれ、と教授から言われた事を思い出し、涙を拭うと立ち上がった。
「教授を連れて来るから、ちょっと待ってて」
握り締めていた手を離そうとすると、僅かに強い力でリョウに引っ張られ足を止めた。
「…もう少し、ここにいろ…」
「でも…」
「いいから…」
今にも消えそうなリョウの声に従うように座ろうとしたその時、グイっと引き寄せられバランスを崩した香は、そのままリョウの胸の上に倒れこんだ。
その衝撃で小さく呻いたリョウに、香は慌てて体を起こそうとしたが、リョウの腕が背中に回り、そうさせるのを許さなかった。

「…ケガ、してないか?」
リョウの胸からダイレクトに響く優しい声が聞こえる。
「…私は大丈夫よ」
「…そうか」
「それよりリョウのほうが…」
「俺は、大丈夫だ…」
背に回された手が、香の頭を優しく撫ぜる。
「言っただろ、俺は死なないって…。お前との約束は、必ず守る。…だから、泣くな…」
搾り出すように語られる言葉と、トク、トクと暖かい音を立てる鼓動に、香の瞳から涙が溢れた。
「お前を、独りにさせるような事は…しない…」
リョウは香を胸に抱いたまま呟くと、再び深い眠りに落ちていった。



白い光が瞼に当たるのを感じて、リョウは意識を浮上させた。
体が覚醒し始めたと同時に、左肩に激痛が走り、堪らず呻き声を上げた。
「リョウっ!気が付いた?!」
重い瞼を上げると、霞む視界に不安げに覗き込む香が見えた。
「気分はどう?大丈夫?!」
心配そうな表情ではあるが、あの時朦朧とする意識の中で見た悲痛な色が消えていることに、リョウは小さく安堵した。
「最悪だ…肩も痛ぇし…」
「あれから、丸二日眠ってたのよ」
朝の光を浴びながらそう言った香を、目を細めて見つめた。

香の事だ、自分が目覚めるまで付きっ切りでいたに違いない。
たくさん泣いて、心配して、そして己を責めたことだろう。
二人共に生きると決めた今でも、こうしてリョウが傷つくたびに、香は己を責め苦しませる。
だが、互いがどんなに苦しくても、何よりも耐え難いのは、二人離れてしまう事。
この世界に潜む闇と向き合う覚悟が、二人で生きていくには必要だった。
今の香の瞳には、その想いを宿したような強さが見えた。
何があっても二人共に生きるという、使命にも似た想いが二人の胸に更に強く刻まれていた。

「香…心配かけて、悪かったな…」
リョウの言葉に、香の瞳が潤み揺らいだ。
「早く…良くなって…」
「ああ…」
重く感じる腕を伸ばし、頬を伝う涙を拭う。
「傷が治ったらさ…」
頬に添えた手を項へ回すと、その小さな頭を引き寄せ耳元で囁いた。
「お前を…思いっきり抱きたい…」
その言葉に香は顔を赤らめ、はにかんだ。
「…バカ」
二人視線を絡ませ見つめ合うと、そっと唇を重ね、二日ぶりの口付けを交わした。
二日振りの…




『怪我や風邪で寝込んだリョウちゃんを香ちゃんが心配そうに看病する』というリクエストを下さったCHINATSU様、いかがだったでしょうか…ドキドキ。
笑えるヤツにしようか、ほのぼのにしようか、それともR?と考えてたら、思いっきり暗いお話になってしまいました、すみません…。
こんなのでよければ、受け取ってやって下さい。
またよかったら、いつでもリクエストして下さいね。
尻尾振って喜びますんで(笑)
この度はリクエストして下さり、本当にありがとうございました!!


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MAY

Author:MAY
CH(リョウ×香)のイラストと二次小説を好き勝手に書き散らしております。
たまに他のジャンルの萌えを語る事も。
最近嵐さん(特にリーダー)にはまってます…。

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