ordinary life

シティーハンター二次創作と萌え語り

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原作程度のお話。
こちらも全く甘くありません。
ものっそい暗いです(笑)

<その手を(R ver.)>



『香が攫われた』と情報屋からの知らせを受けた俺は、腹の底が冷えるような焦りを感じながら香の行方を追った。

香を危険な目に遭わせるたびに、香とそして槇村に謝罪の念を抱く。

元々表の世界で普通に暮らすべき女だ。
早く自分の下から開放してやるべきなのに、いつまでもグズグズと日々を送っている。

いま一つ踏ん切りがつかない理由は、よく分かっていた。
その理由が、己の中で根をはり俺を雁字搦めにして動けなくする。
その結果、香をこういう目に遭わせてしまう。

チ、と舌打ちすると、俺は突き止めた香の居場所までクーパーを飛ばした。

大きな倉庫のような建物は、もう随分前から使われた形跡はなくひっそりとしているが、微かに感じる数人の気配。
たいした奴らではない事は、その弱弱しい気配で分かっていたので正面から入っていった。

案の定むやみに仕掛けてくる者達に、致命傷を負わせると、更に奥へと進んだ。


端のほうに一つの部屋があり、そこから香の気配がする。
そしてもう一人の黒い気配も。

こいつが主犯か…。

俺は部屋の前まで歩み寄り、そのドアを開けた。


俺の目に飛び込んできたのは、男に組み敷かれた香の姿。

はだけた胸元に男は顔を埋め、その男の下で香は青ざめた顔で天井を見つめていた。

俺の存在に気付いた男は、上半身を起こし振り返った。
その瞬間、俺は一歩中へ入り、そのまま銃口を向け、引き金を引いた。
何の躊躇いもなく。

頭を打ちぬかれた男は、その勢いで吹き飛ぶように倒れ込む。

男の体を蹴り飛ばすと、俺は微動だにしない香を抱き起こしジャケットをかけた。
そして震える体を支えるように、部屋を後にした。

「…遅れてすまなかった」

俺には、そう言うのが精一杯だった。



あんな殺し方をしたのは、久しぶりだ。
引き金を引くことに、何の迷いもない、冷酷な殺し方。

あの光景を目にした瞬間、感情が心をすり抜け一直線に人差し指へと向かったような感覚だった。

今の俺なら、相手の命を絶つのならば、それなりの理由が必要だった。
だが俺は、あの男の声も聞かず僅か数秒で殺した。

男の声など必要なかった。

香を傷つける者は、決して許さない。

命を消す理由は、それで充分だった。


ずっと押し黙ったままの香は俯き、膝の上で手を固く握っていた。

またきっと自分を責めているのだろう。
自分は未熟だと、俺の足手まといになっていると。

『それは違う、全ては俺のせいだ』

そう言ったところで、香は自分を責める事を止めたりはしない。

『怖かった。もっと早く助けに来て欲しかった』と、そんな事は一言も言わない。
そうする事が、俺を責め苦しませると思っているから。

自分の中に溜め込まず、全てを吐き出してくれたほうが、よっぽどマシだと思う。
こんな俺の為に何もかも我慢なんてしてくれるな。


視界の端に映る小さな手が、痛々しかった。
その手が、香自身の心を握り潰しているかのように見えて、俺はその冷たい手を暖めてやりたかった。

こんな時に、言葉など何の力にもならない。
慰め方など、分からなかった。

ただ、震えるその手を暖めることしか出来なかった。
香を苦しめると分かっていながら、俺はその手を離すことが出来なかった。
離せない

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MAY

Author:MAY
CH(リョウ×香)のイラストと二次小説を好き勝手に書き散らしております。
たまに他のジャンルの萌えを語る事も。
最近嵐さん(特にリーダー)にはまってます…。

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