ordinary life

シティーハンター二次創作と萌え語り

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原作程度のお話です。
今回香ちゃんが少々かわいそうな目に遭うので、そういう展開が苦手な方は(特にカオリストの方)はご注意を。
糖度ゼロ。全く甘くありません。



拍手してくださった方々、本当にありがとうございます!
皆様のお心遣いに、本当に感謝です!!

<その手を(K ver.)>


クーパーの重いエンジン音が、沈んだ私の心に更に拍車をかける。
震える体を覆うリョウのジャケットからは、真新しい硝煙の匂いがし、車内を満たしていた。
その咽るような匂いに、目の前が暗くなる。



リョウを狙う何者かに攫われた。


リョウに追いつこうと必死になっていろんな技術を身に付けた私は、今ではそこらへんの男よりずっと強い。
だが、未だにこういう目に遭うのだ。

私は軽い自己嫌悪に陥った。


『こういう場合は絶対に動くな』
リョウには常にそう言われていた。
ヘタに相手を刺激すれば、何をするかわからないから…ということらしい。
その言葉を忘れたわけじゃない。
でも、捕まったままじっと待つなんてやっぱり嫌だった。

閉じ込められた暗い部屋から脱出しようと試みた私は、背後で気配を殺し潜んでいた男に気付かず、鉄製のドアへ近づきノブを回そうとした瞬間、後ろから羽交い絞めされ身動きが取れなくなった。
男はそのまま部屋の奥へズルズルと私を引きずりこもうとする。
必死に抵抗しても、ものすごい力の前では無駄な足掻きだった。
引きずられた反動で床に叩きつけられ、俄かに頬を打った。
頭に鈍い痛みが走り、朦朧としていたところに男が圧し掛かってくる。
男は私の首に手をかけると冷たい笑みを浮かべて、『ここへ来たヤツの顔が見ものだな…』、そう言った。

突然首に感じていた圧迫感がなくなり、急に入り込んだ空気に激しく咽る。
その瞬間男は私のシャツに手をかけ、一気に引き裂いた。
ボタンが弾け飛び、床に転がる音が響く。

この状況で、これから自分の身に何が起こるか分からないほど、バカじゃない。

血の気が引き、冷たい汗が体中から吹き出る。
大声を出そうとしても、喉が固まり何も出ない。


私は忘れていた。
自分がどんな世界に住む人間なのか、という事を。
この世界は、力こそが全て。
男も女も関係ない。
弱者が消え、強者が生き残る、少しの甘さもない闇の世界だという事を。

私の力なんて、この世界では無に等しい。
真っ先に消える存在だ。
それでも、こんな世界で今まで白いままでいられたのは、他でもないリョウの力があったから。
リョウが守ってくれていたから。

それなのに、それを自分の力だと過信していた。
自分の力なのだと、勘違いしていた。


胸元に男の息がかかる。
猛烈な嫌悪感に、吐き気を覚えた。

助けを求めていた心が、次第に小さくなる。

こんな自分を見られたくない。
自分の甘さと思い上がりが招いたこんな情けない姿を見られたくない。
リョウには絶対に…。

リョウは私に失望するだろう。
そして、激しく己を責めるだろう。『全ては俺の責任だ』と。

そんなのは嫌だった。
自分のせいで、リョウが苦しむなんて。


だが、私の思いは叶わず、リョウは来た。


外の光で逆光になり表情は見えないが、体に纏う気配は冷たい殺気。
一歩部屋へ踏み込んだ瞬間、銃声が響き部屋中に木霊した。
弾丸は男の頭へめり込み、声を発する間もなく、絶命した。

流れ出した血を避ける事もせず、リョウは真っ直ぐ私の傍まで来ると、空になった男の体を一蹴しかがみ込んだ。
そして、動けなくなっていた私の体を起こし、ジャケットをかけてくれた。
先程の凄まじい殺気はもう消えている。

「…遅くなって、すまなかった」
リョウの声が静かに響く。

一言だけそう言うと、私の肩を抱いて、死の匂いが漂う部屋を後にした。



その後アパートへ向かう二人は、互いに言葉を交わす事もなく黙ったままだった。
膝の上に置かれた私の手は、強く握りしめられ血の気がなくなる程に白くなっていた。

自分の身に起ころうとした事への恐怖。
そしてなにより、不甲斐ない自分自身へ怒りすら感じ、知らず体が強張った。
振り解けない

こんなに愚かで甘い者など、この世界では生き残れない。
リョウの傍にはいられない…。

白い手が揺らめき、涙が滲む。

泣いてはいけない、と瞼を閉じたその時、暖かいものが手に触れ体がピクリと揺れた。
私の手を包むように置かれたリョウの手は暖かく、冷たく固い手を溶かそうとするように何度も撫ぜる。

何も語らないけど、その手から伝わる優しい温度に、胸が苦しくなり涙が零れた。


どうしてそんな事をするのだろう。
その手を離してくれたら。
『お前は必要ない』と見限ってくれれば。
あなたは苦しまずにすむのに。
私は、あなたの前からいなくなるのに。

残酷な優しさに捕らわれた私の心は、その暖かい手をいつまでも振り解けないでいた。
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MAY

Author:MAY
CH(リョウ×香)のイラストと二次小説を好き勝手に書き散らしております。
たまに他のジャンルの萌えを語る事も。
最近嵐さん(特にリーダー)にはまってます…。

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