ordinary life

シティーハンター二次創作と萌え語り

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今回も原作初期のお話です。
香ちゃん視点で書いてみました。
よろしければどうぞ…。

<あなたがいたから>


「う…、今日も依頼なしか…。これでもう一ヶ月依頼ゼロ。こんなんで生活していけんのかな…」
世界中の不幸を一気に背負ったような顔で、香は伝言板を後にした。

リョウのパートナーになって数ヶ月経つが、これといった仕事なんてしていない。
伝言板の確認、アパート内の家事全般。
これが香の毎日の仕事。
なかなか依頼が来ないから当たり前の事だが、リョウのパートナーらしい事はまだ殆どした事がなかった。
「あーあ、このままじゃ冴羽商事つぶれちゃうよぉ」
これから先の事を考えると気が重くなり、足取りも更に重くなった。

「どったの、香チャン?」
「ぎゃっ!!」
突然声をかけられ香は悲鳴を上げた。
「…何だ、リョウか」
声の主をチラリと見るとため息一つついて再び歩き始めた。
「何だ、とは随分だなぁ」
ニヤニヤ笑いながらリョウは香の横に並ぶ。
「ははーん、その様子じゃまたなかったんだな」
他人事のように言うリョウに香はカチンと来た。
「そうよ、またなかったのよ!どうすんのよ、このままじゃ…」
「そう心配すんなって、どうにかなるさ」
「…アンタってホント、お気楽よね…」
香は鼻歌を歌いながら歩く横顔をジト目で睨んだ。

こうやって見ると、ボーっとしたただ図体のでかいだけの男にしか見えないが、この男は現実から離れた世界に存在する。
シティーハンター、闇のスイーパー。
裏の世界で№1と言われる男だ。
場合によれば、その手で人の命を奪う事もある。
未だに信じられないが、そういう男だ。

初めてリョウに会ったとき、私はその圧倒的な威圧感と恐ろしさで体が震え、暗く冷たい瞳で見据えられ身動きが取れなくなった。
だけどその後、この男が恐ろしいだけの人間ではないという事を知った。
『依頼人だ』という小さな少女を見つめるあの眼差し。
陽だまりのような、柔らかく暖かい瞳だった。
私はそれと同じ目をした人を知ってる。

アニキ。
この世でたった一人の家族。

あの時のリョウが、アニキと重なって見えた。
似ている所など何一つないと思っていたのに。

アニキの事を思い出し、胸がズキンと痛む。
正直アニキを失ったあの夜の事を思い出すだけで、足の先から体が冷えてゆく。
苦しくて辛くて、叫びだしそうになる。
でも、私が今こうして普通でいられるのは、リョウが傍にいてくれたからだ。

どうしてあの時『新しいパートナーになる』、そう言ったのか自分でもよくわからない。
独りになるのが怖かったのかもしれない。
淋しかったのかもしれない。
アニキを殺した相手に復讐したかったのかもしれない。
ただ、心がぐしゃぐしゃに潰されたあの時唯一覚えているのが、リョウの笑顔だった。
アニキと同じ目をした優しい、だけど悲しい笑顔。
ああ、この人は私と同じ想いを抱いてる、同じようにアニキを大切に想ってくれていたのだと、そう感じた。
この人の傍にいよう、そう思った。
あのまま独りになっていたら、私はきっと壊れていた。
こんなふうに笑ったり怒ったりする事なく、心が空っぽのまま、ただ時間が過ぎるだけの毎日を送っていただろう。

迷惑なのはわかってる。
足手まといになってる事も。
だけど、リョウは私を拒まなかった。
アニキの妹だからとか、理由はどうだっていい。
リョウが笑って受け入れてくれた事に本当に感謝してる。
本人には恥ずかしくて言えないけど。
だから、いつか離れる日がくるかもしれないその日まで、私に出来る事は何でもやろうって心に決めた。

『離れる』、そう思ったら胸がチクリとした。
独りになるのが淋しいからとかじゃない。
リョウとこうして暮らしていても、時々感じる痛み。
この痛みが何なのか、最近ちょっとわかり始めた気がする。
まさか、と思ったけど、リョウのいろんな事を知るたびに感じることが多くなった胸を締め付けられるような痛み。

こんな、ゴツクてだらしない男好みじゃないんだけどなぁ…。


「オイ、香」
「…へっ!な、なに?」
自分の世界に深く入り込んでいた香はリョウの声でハッとした。
「お前さあ、もしかして俺に惚れた?」
「!はあっ?な、何言ってんの!?」
リョウの突然の言葉に、自分の意思とは無関係に動揺する。
「だってさ~、そんな熱~い目で見つめるんだもん、香チャン♪」
「なっ…!」
自分でも気付かないうちに、ずっとリョウの横顔を見つめていたらしく、香は音を立てて赤面した。
「まぁ、惚れるのも無理ないな。俺ってカッコいいし~、強いし~優しいし~」
腕組みしながら頷くリョウは、チラリと香を見ると口の端を上げて意地悪な笑みを返した。
惚れた?
「~~!」
悔しいが、リョウの言っている事を否定できない香は、唇を噛んでリョウを睨みつけた。

端正な顔立ち、深黒の瞳。
同じ人間とは思えない程鍛え抜かれた身体。
時々見せる、暖かい優しさ。
リョウと言う人間に惹かれ始めている事に、香は気付いている。
リョウもそんな香の心に気が付いているのだろうか。

「アンタみたいなだらしなくてナンパな男、全然タイプじゃないわよ!!」
「ははっ、んな真っ赤な顔で言われても、説得力ないぞ香チャン?」
そう言いながら頭を優しく撫でる大きな手を、香は不覚にも心地よく感じていた。
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MAY

Author:MAY
CH(リョウ×香)のイラストと二次小説を好き勝手に書き散らしております。
たまに他のジャンルの萌えを語る事も。
最近嵐さん(特にリーダー)にはまってます…。

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