ordinary life

シティーハンター二次創作と萌え語り

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こんばんは、MAYです。
今回は初心にかえって?原作程度です。
原作初期、一緒に暮らし始めて数ヶ月後ぐらい。
リョウちゃんが香ちゃんについて、ぼんやり考えてます。

拍手してくださった方々、本当にありがとうございます!!

<face>


浅い眠りから覚めたばかりの重い体を起こし、ベッドから這い出る。
リビングへと近づくにつれ漂ってくる朝食とコーヒーの香ばしい匂いが空腹を刺激した。
リョウはアパート内の気配を探る。
いつも騒々しいほど動き回る気配が感じられない。
どうやら働き者のパートナーは既に出かけているらしい。

ダイニングで既に準備されていたものを数分でたいらげると、リビングへ向かおうと席を立った。
が、その時怪訝そうなアイツの顔が脳裏に浮かんだ。

『ちゃんと食器ぐらい流しに持っていってよ!』

チ、と舌打ちすると、食べたままの食器をシンクへと運んだ。
「っとに口うるせぇんだよなぁ、アイツは…」
ブツブツ文句を言いつつ、ふと周辺を見渡す。
多種類の調味料、整理された棚、磨かれたシンク。
「キレイにしてんな…」

香がこのアパートへ来てから、ここはアイツの場所になり、俺はほとんど立ち入る事がなくなった。
一人だった頃よりいろんな物が増え、殺風景だったキッチンには生活感が漂う。
同じキッチンのはずなのに、まるで違う家に見える。
ここでアイツは毎日俺の食事を作る。
夜戻らないときもあるが、それでも文句を言いながらも用意してくれている。

ガサツで大雑把、言葉遣いも悪い、まるで男のような女。
だが実は、優しく気の付く女だという事を俺は知っている。
それに初めて気が付いたのは、アイツの作る食事だった。
決して豪華なものを作るわけじゃない、ありふれた普通のもの。
しかしアイツは、その日の俺の体調に合ったものを用意する。
それは日頃気をつけなければ出来ない事だが、アイツは俺が何も言わなくても、自分で考え自然とそれをやってのけている。

俺は新聞を手に取り、リビングへと向かった。
明るい日差しが差し込むその場所も、キッチン同様キレイに整頓されている。
この場所も一人の頃は、部屋中が暗く重い空気で満ちていたが、今は白く明るいものへと変化していた。

思えば、不思議な女だ。
俺が出会ったどの女ともタイプが違う。
俺の知る女というのは、仕事でもプライベートでも女を匂わせ、己のする事に対して見返りや報酬を求める者ばかりだった。
中には好意を抱き、俺のテリトリーに入り込もうとする女もいたが、俺は今までそれを許した事は一度もない。
俺は誰とも深く交わる事はなく、そのラインを超えようとする者を拒んできた。
だがアイツはそんな俺の中へ、何の抵抗もなく入ってきた。
そして俺はそれを何故か自然と許している。
自分でも上手く説明出来ないが、アイツを受け入れている。

ふと、あの夜の事が頭を掠めた。
アイツのたった一人の兄であり、俺のパートナーだった男が死んだ、冷たい雨が降るあの夜を。

残酷な事実を告げた俺に『新しいパートナーになる』、とアイツは言った。
泣く事もわめく事もせず、強い意志を持った瞳だった。
憎悪、怒り、絶望、喪失、孤独。
負のあらゆる感情に襲われたはずなのに、俺に涙の一つも見せなかった。
俺はその瞳に何故か自分と似た色が滲んでいるように見えた。
誰とも馴れ合う事なく、孤独な色。
一人なのだ、俺も、アイツも。

だが普段は暗い影など一切見せず、底抜けに明るい笑顔を見せる。
悲しい過去など一切感じさせない。

悲しく不幸な女だと思っていた。
だがそれらを強さに変える力を持つ女だと気付いた。
暖かく、全てを包み込む大きな力。
俺には到底持つ事の出来ない力。
「不思議な女…だよなぁ」


「ただいま~!」
やがてバタバタと音を立てて香が帰ってきた。
「おっ、やっと起きたな」
「…うるせえヤツだな、もう少し静かにできねぇのかよ」
「ふん、働かずにダラダラ寝てる人に文句言われたくないよ!」
いつものやり取りが繰り広げられる。
「そんなんだと嫁のもらい手なくなるぞ~。あ、なんなら嫁さんもらうか、香が!」
「なっ、なんだとー!」
ハンマー片手に突進してきた香だったが、リョウの頭上でそのハンマーをピタリと止めると突然笑い出した。
smile!.jpg
なんだよ?と訝しげなリョウの声。
「アンタのその頭、すっごい事になってるわよ」
リョウの頭に見事な寝癖がついていたのだ。
香はリョウの頭に手を伸ばすと、いろんな方向に向いているその黒い髪を指で梳いた。
「へ~、リョウの髪って硬そうに見えるけど、結構柔らかいのね」
髪を梳く香の指が耳や首筋に当たり、くすぐったいようなむず痒いような感覚に襲われる。
気恥ずかしくなったリョウは、香の手をはねのけた。
「うるせっ!お前のだってクルクルだろうが!」
そう言うと、お返しとばかりに香の髪を力任せにかき混ぜた。
「いっ、痛っ!もうっ、なにすんのよ!」
乱暴なリョウの手付きに怒りをあらわにする。
「ホントに乱暴なんだから!私は女だぞ、少しは手加減しろ!」
「へっ、女だったらもう少しそれなりに振舞えってんだ!」
「こっ、このヤロー!」
今度こそハンマーだ、と振り下ろされたものをヒョイッと避けるとリョウは足早にリビングを後にした。
後ろからドア越しに『リョウのアホー!』と怒鳴り声が聞こえる。
「なんちゅー声だ、ホント男みたいだな…」
その皮肉めいたセリフとはうらはらに、リョウの顔は綻んでいた。

怒って、怒鳴って、そして笑って。
おもしろい程いろんな顔を見せる女。
その飽きない表情に、凍り付いていた己の心が癒されている事を、リョウは少しずつ感じ始めていた。
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MAY

Author:MAY
CH(リョウ×香)のイラストと二次小説を好き勝手に書き散らしております。
たまに他のジャンルの萌えを語る事も。
最近嵐さん(特にリーダー)にはまってます…。

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