ordinary life

シティーハンター二次創作と萌え語り

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こんばんは、MAYです。
勢いに乗って後編UP(笑)。
後編は少し切ない?感じになってます(そうでもないかも…)。
二人ともいろんな意味で追い詰められてます。
よろしければ読んでやってください。




<performance(2)>


リョウはゆっくり立ち上がると、座ったまま自分を見上げる香のそばへ歩み寄った。

「立てよ」

そう促され香も立ち上がると、リョウは更に一歩近づき香との距離を縮めた。

一緒に生活していてもこんなに近い距離で向かい合う事など滅多になく、その慣れない体勢に気まずくなり香は俯いた。
香の心臓はすでにうるさいほど音を立てている。

「顔を上げろよ…」

リョウの声に、ぎこちない動きで顔を上げた香は、そのリョウの表情にハッと息をのんだ。
先程のからかう様なものは微塵もなく、その瞳には深い闇が広がり、香はその闇に吸い込まれるような錯覚に襲われぞくりとした。
香はこれがリョウの『演技』なのだと頭の中でわかっていながら、その漆黒の目に胸の高鳴りを押さえられない。

「香」

静まり返ったリビングにリョウの声が響く。
いつもより低いその声は、少し掠れ、そして甘い、初めて聞くものだった。
香はその声を耳にしただけで、眩暈を起こしそうな感覚に襲われていた。

クラクラする…。

ふと、リョウの右手がわずかに上がり、香の左手に触れた。
ただ触れただけなのに、まるで全身を貫かれたような衝撃が走る。
リョウは香から視線を逸らす事なく、その触れた手を指を絡めるようにぎゅっと握り締めた。
香は全身の力が抜け、ただリョウを見つめる事しかできず、立つ事すらままならない。

不意にその黒い瞳が近づいてくる。
香は、熱くぼんやりする意識の中で思った。

キス…されるの?

香は、リョウの瞳が近づくのと同じ速度で瞼を閉じた。
しかし、触れられると思われた唇にその感覚はない。
その変わり香はリョウに抱きしめられていた。
そのあまりの強さと心地よさに息が止まりそうになる。

ドク、ドク、と互いの鼓動が聞こえる。

抱き合った二人の間から生まれる熱は、行き場を失くし渦巻いていた。
その熱に、そしてリョウの匂いに包まれた香は体中が沸騰したように熱い。
本能
もうずいぶん言葉はなく、リビングにはただ抱き合う二人がいた。
リョウは更に抱きしめる腕に力を込め、香の肩口に顔を埋めた。

「香…」

二度目に零れた声は先程とはまた異なり、何かを耐えているようで切羽詰ったように切なかった。
リョウのその声と共に漏れた吐息が香の細い首筋を掠め、香は全身が粟立つのを感じた。
香は崩れそうになる体を支えるように、リョウの背中にしがみついた。

「リョウっ…!」

ときめきなどとうの昔に通り越し、未知の感覚に埋もれそうになった香はリョウの名を叫んでいた。
今にも泣き出しそうな声で。

その瞬間、ふっとリョウの腕の力が緩んだ。
リョウは香の肩口に預けたままの頭を上げると、ゆっくりと香の体を離し再び香の顔を見つめた。
その頬は紅潮し、潤んだ瞳が戸惑いを隠しきれずに揺れている。

「…どう?少しはドキドキしたか?」
リョウの問いにも反応を示さず、香はただ立ちすくんでいる。
リョウはふうと小さく息を吐くと、香の頭にぽんっと手を乗せた。
「…スマン、ちょっと悪ふざけが過ぎたな」
そう言うと、くしゃっとそのくせ毛を撫ぜてゆっくりとリビングを出て行った。

リビングのドアが閉まる音と同時に、香は膝から崩れ落ちるように座り込んだ。

見つめられただけ。手を握られただけ。名を呼ばれただけ。抱きしめられただけ。

たったそれだけの行為。
それだけなのに、あの男の一つ一つの行動に完全に捕らわれてしまったのだ。
リョウの生み出す大きなうねりに、全て飲み込まれてもいいとさえ思った。
静かな嵐のような出来事に、体中の震えが治まらず、涙があふれる。
「…ふざけすぎよ、バカ…」
香は消えそうな声で、そう呟いた。


「やべ…、危なかった…」
自室に戻ったリョウは、リビングでの出来事を思い出していた。

危なかった。
あの時香が俺の名を呼ばなければ、俺は自分を止められなかったかもしれない。
始めはほんの冗談、軽い気持ちだった。
手を握って、からかって終わろうと思っていたんだ。
だが、香の目を見た途端に『演技』で済ませるつもりだった行為は、いつの間にか本気に変わっていて。
香を抱きしめた瞬間、理性なんてぶっ飛んでいた。
香の声がしなければ、あの青白い首筋に触れていた。
そして己の欲望のままに動いていた。

リョウはベッドに横になると、わずかに震える手で目を覆った。

見つめただけ。手を握っただけ。名を呼んだだけ。抱きしめただけ。

たったそれだけの行為。
それだけの行為に、理性を失い自分を見失った。
香のあの瞳が俺を狂わせたのだ。

「いよいよ俺もヤバイよな…」
喉の奥から搾り出したその声は、やけに切なく部屋に響いた。

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MAY

Author:MAY
CH(リョウ×香)のイラストと二次小説を好き勝手に書き散らしております。
たまに他のジャンルの萌えを語る事も。
最近嵐さん(特にリーダー)にはまってます…。

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